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分断された海の片隅で:隻眼ヲ級の証言/Emily's Report ZERO若しくは序章
ヒャッハーズと知りたがり
2###/##/##:公海・日本領海付近・太平洋


 「ヒゃっはァー!」


 隻眼ヲ級(分霊)・擬艦化形態が水平線上に小さく見えるか見えないか位に離れた海上を行く六隻の艦娘達。
 その中で最も目立つボリュームのある紫の少年漫画の主役級、或いはヘヴィメタルバンドの一員の様な髪型の少女がさも嬉しそうに奇声を挙げる。

 「やっぱり予想通りだった♪」

 奇声を挙げた少女、凖鷹(艦これ)(真石・みちえ)はそう言いながら腰から自身の足程もある巻物を開くと、飛行甲板を模した模様が描かれている巻物の内側に隻眼ヲ級(分霊)擬艦化形態が見える辺りの方向からやって来た旧日本海軍の艦載爆撃機である彗星十二甲が着艦する様にその形状を模した紙に戻りながら貼り付いて行く。
 帰って来た彗星十二型甲が全機紙に戻って貼り付いたのを確認すると隼鷹(艦これ)(本名:真石・みちえ)は手馴れた手付きで巻物を巻くと腰へと差し戻す。

 「目には目を、歯には歯を、マジカルにはマジカルってね!」
 「て言うか私達陰陽道だから。」

 そう得意気に語る隼鷹(艦これ)(本名:真石・みちえ)を同じ様な服装の長い黒髪の少女がたしなめる。
 横井・篤美(よこい・あつみ)と云う本名を持つその少女は今現在は自らを飛鷹(艦これ)と名乗っている。
 そんな飛鷹(艦これ)の一人である彼女は隣にいる同じく隼鷹(艦これ)の一人である真石・みちえとは同期でもあった。

 「そもそも彗星十二型甲ってそういう使い方する艦載機じゃないから!」
 「ほら、PVで五航戦の姉の方が似た様な事やってたじゃん。」

 飛鷹(艦これ)(横井・篤美)の更なる突っ込みに隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)は最近見たらしい公開映像を見て彗星十二甲を偵察機代わりに飛ばして索敵する事を思い付いた事を伝える。

 「それに例の深海棲艦らしき何かは一部のハイテク鎮守府の探査機器でさえ見失ったって云うじゃん?
 で、最近実用化されたばかりの明土鎮守府方式絡みの深海棲艦に関する噂話を聞いてもしかしたら、と思った訳よ。」
 「だったら彩雲使わせて貰えば…ってうちの鎮守府は…。」
 「まあ、そういう事さね…。」

 そこで二人の軽空母娘はは溜め息をつく。

 「それにしても謎の深海棲艦…しかも完全な人型…すっごく興味有ります!」
 そんな二人の軽空母艦娘の憂鬱などお構いなしに彼女達より幼そうな印象の声が投げ掛けられる。
 その声の主はショートポニーに上は上はセーラーブラウス、下はハーフパンツと云う艦娘の中でも珍しい出で立ちで、二連装砲を二門付けた肩に担げそうな偽装を小脇に抱えていた。

 「ですから話を聞く為にも先ずは投降、臨検を呼び掛けましょう!」

 声の主、青葉(艦これ)(本名:海野・加容子)は隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)と飛鷹(艦これ)(横井・篤美)の二人に相手への投降無いし臨検を呼びかける事を提案する。

 「それさ、噂に聞く穏健派だったら良いんだろうけどさ、そうじゃなかったらどうすんの?」

 その提案に対して隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)が相手が主戦派だったらどうするのか、と問い返す。
 「…それでも、警告無しでいきなり攻撃よりは良いと思います!」

 その返しに青葉(艦これ)(海野・加容子)は一瞬躊躇しながらも、真っ直ぐに隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)を真っ直ぐに見つめながら真剣な面持ちでそう断言する。

 「そうね、少なくとも情報戦で不利になる要素を一つ潰せるわ。」

 そんな青葉(艦これ)(海野・加容子)の言葉の裏を読み取ったのか、飛鷹(艦これ)(横井・篤美)がそれらしい理屈を付けて助け船を出す。
 一方の隼鷹(艦これ)(真石・みちえ)は苦い顔のままであった。
 その辺りは先に語った深海棲艦側の他にもう一つ懸念材料があるからなのだが…。

 「相手も気付いたみたいだよ。」

 残り三名の随伴の一人、時雨(艦これ)4622011が相手側、即ち隻眼ヲ級(分霊)擬艦化形態に動きが有った事を三人の人間艦娘に告げた。

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