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明土第七七四集積地鎮守府にて:第二部
2###年(着任五年目)07月初旬:南太平洋・M海域・明土第七七四集積地鎮守府・鎮守府庭園
 「あの、提督、最近見た明土鎮守府方式を悪い方に解釈して駆逐艦娘達をこき使ったり自分達の幼女趣味を正当化している作品って……。」

 時代劇再現ドラマシリーズの方では話が続かないと思ったのか、大和(艦これ)は霜川提督が最近見たと云う作品の方に話を振る。
 女の勘でそちらの方が自分達所属艦娘達には決して見せない霜川提督の顔や考えが見れると思ったのか。

 「……正直、聞いて気持ちの良い物ではありませんが?」

 怪訝そうに霜川提督が大和(艦これ)221999に問い返す。

 「それでも聞かせて貰えませんか?」

 大和(艦これ)221999はやや食い入れ気味に霜川提督の問いに答える。

 「……腹が立たなかったと言えば嘘になりますね、実際に明土鎮守府方式の運用はおろか知ろうともしない、従来の運営方式なままのどの口が何を偉そうに、とね。」

 霜川提督は大和(艦これ)221999にその作品への感想をそう纏めて簡潔に伝える。

 「勿論、従来の運営方式の範囲内でデジタル化した横須賀のエース級の鎮守府を始めとする過半数の鎮守府や明土鎮守府方式を同時運用、若しくは一部導入している他の鎮守府の存在も把握しているつもりです。」

 勿論、本土の全ての鎮守府全てを十把一絡げにそう見なしている訳では無い事は付け加えて。
 その顔は霜川提督にしては厳しい物であった。
 最重要区画の召喚術を応用した艦娘用資材の備蓄量の自動備蓄も余りにも幻想的過ぎて理解不可能なのと悪用を防ぐ為に術式を公開してないだけで公然の秘密であり、人身売買とかそんな物ではない。
 確かに霜川提督はこの(物語の)世界(線)の秋葉原で彼は艦娘の人身売買が行われていたのをこの場で見た。
 だが、それは明土鎮守府方式の艦娘用資材備蓄量の自動回復とは無関係だ。
 また当事の霜川提督に解決する事が不可能な案件だったし、後に明土鎮守府方式用の艤装の取引は合法化・人身売買を行なっていた組織も公安に摘発されて久しい。

 「それに一番腹立たしかったのはうちの利根さんや高雄さんを悪し様に解釈したとしか思えない利根さんや高雄さんを出して、彼女達を駆逐艦娘でおちょくる……即ち彼女達の尊厳や矜持を他者を貶める型の笑いで踏みにじった事です。」

 遂に霜川提督の表情が暑さなど無視する様に険しい物となる。

 「私をT字頭の提督というキャラクター且つ横暴な上司キャラで貶めるのなら貶めれば良い、こちらは疚しい事はしていないのだから堂々としていれば良いだけの話です。」

 疚しい事が無いのだから堂々としていれば良い、それは霜川提督が提督(艦これ)以前世話になった職場の先達から、そして(物語からは外れるが)筆者がネットでの悪質な成り済ましを地元の警察に相談した際の当時の警務科の担当者さんから頂いた言葉でもある。

 「ですが、嘗ての戦訓を元にしている明土鎮守府方式を部分的に導入する事すらせず、うちに所属している艦娘の皆さんを笑い物にして貶めるのは許せない。」

 語尾から丁寧さが消えた辺り相当頭に来ている様だ。

 「そうですか……。」

 大和(艦これ)221999は霜川提督の言葉から彼が見たそれがどれだけ製作者側の悪意に満ちていたのかは解らない、しかし……。

 「やはり……。」
 「提督。」

 霜川提督が発したそれに続く言葉が意味している事の危険性だけは察する事は出来た。
 それに対して大和(艦これ)221999はその言葉を遮りながら霜川提督の左肩を自身の胸元へと押し付け、自身の左手を霜川提督の左手に添える。

 「駄目です、それをしたら戻れなくなります。」

 添えた自身の左手で霜川提督の左手を自らの右太股の上へと導く。

 「なっ?」

 予想外の展開に霜川提督の思考が停止した事などお構い無しに彼の左手を更に太股の内側へと導く水着mode姿の大和(艦これ)221999。

 「提督、今さっき提督が至った答えに行く位なら非番には水着姿になってくれている時雨さんや重巡以上の皆さんの内の誰かを抱いてみませんか?」

 そう霜川提督に大胆に過ぎる提案を伝える大和(艦これ)221999。

 「“あっち側”に行ってしまう位ならその鬱憤をいっそ私達の中にぶちまけてしまいませんか?」

 それは自身の貞操も捧げる事も含まれているのだろう。
 とても普段の彼女からは想像も出来ないが、それだけ彼女なりに必死だと云う事か。

 「それに私を出撃させる為の艦娘用資材が膨大なのは解っています、でも私は置物では無いんです。」

 それは大規模作戦以外の出撃が無い事、そしてそれが第三セクター化してからはより顕著になった事に対する後ろめたさから来る物か。

 「大和、さん……。」

 大和(艦これ)221999の大胆に過ぎる行動と提案、そして眼前にせまる豊かな胸部装甲に霜川提督は冷や水処か逆に思考停止寸前となっていた。
 もし霜川提督が第三世代型装甲筋肉服を着込んで無ければそのままウ=ス異本的な展開に突入していたであろう。

 「ならいっそ私を逢い引きの為のホ……。」

 その言葉と共に大和(艦これ)221999はその左手を以て霜川提督の左手を自身の水着のビキニパンツの方へと導いて行く……。

 「!」

 刹那、ただならぬ気配を察した大和(艦これ)は気配の方、彼女から見て左側へと顔を向けると。

 「どうも、大和さん、霜川さん、憲兵です。」

 そこには両手を合わせながら二人に挨拶を行う憲兵さんと、

 「提督、一息入れられてはと御進言致しましたが、これはどういう事でしょうか?」

 そしてこの明土第七七四集積地鎮守府の筆頭秘書艦である高雄(艦これ)45417816が仁王立ちで立っていた。

 「あ」
 「ど、どうも、憲兵さんに高雄さん、霜川です……。」

 そんな二人に対して大和(艦これ)221999は唖然とし、一方霜川提督は慌てて挨拶を返す。
 尚、この文章をお読みの方の中にはお忘れになられている方もいるかも知れないが、この(物語の)世界(線)での挨拶は流石に古文書にこそ書かれていない物の、大事な行為である。

 「私は霜川提督が誰と前後しようとも一向に構いませんが、時間と場所だけは弁えていただきたかった。」

 そう告げる憲兵さんの目に何時もの笑みは無い。

 「大和さん、その手はどういう事ですか?」

 高雄(艦これ)41457816は大和(艦これ)221999に問い質す。
 因みに霜川提督の左手は大和(艦これ)221999が着ている水着のビキニパンツ部分に触れたままだ。

 二人からの問いに対して霜川提督と大和(艦これ)221999は何も言わない、いや言えなかった。
 暑さや吊り橋効果込みとは言えど、良い雰囲気になっていたのは誤魔化し様の無い事実だったからだ。

 「「綱紀正すべし、慈悲はありません」わ。」

 その言葉と共に憲兵さんと高雄(艦これ)41457816の気迫が高まって行く。

 「「あええええええええええッ!?」」

 それを見て情けない悲鳴を上げた霜川提督と大和(艦これ)のが二人がしめやかに失禁しないのは霜川提督は勿論、大和(艦これ)221999も宇宙的恐怖にさえ慣れてしまっているからである。

 「「ぇいやーッ!」……と言って差し上げますわ!」

 烈迫の掛け声と共に憲兵さんは駆け寄りながらの空手チョップを、高雄(艦これ)41457816は飛び蹴りを各々繰り出す。

 「ぐはーッ!」
 「ンあーッ!」

 なす術も無く霜川提督と大和(艦これ)221999の苦悶の叫びが鎮守府庭園に響き渡る……。

 こうして霜川提督と大和(艦これ)221999は各々反省室(と云う名の独房)へ叩き込まれるに至る。

 この案件は第三世代型装甲筋肉服がニンジャめいた戦闘能力を有する憲兵はおろか非ケッコン艦娘としては最上位クラスの重巡艦娘の一撃にすら耐え、着用者を保護しうる防御性能を有する事を示すと同時に(少なくとも明土第七七四集積地鎮守府の)憲兵さんはその鎮守府の綱紀を乱した者は例え艦娘であっても容赦しない事を他の鎮守府に改めて示す事となった。

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あきゅろす。
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