嫉妬(※18禁)・7

「あ……あぅ……っ」
 ゆるゆると腰を打ち付けながらたっぷりと精液を注がれ、カイジの腹の中にじわりと生温かいものが広がる。
 抜かずの二発を終え、ようやくアカギのモノが後ろから抜かれ、カイジは目を閉じて深く息をつく。
 未だ絶頂寸前まで高められたままのカイジは、アカギに出された精液が後ろから溢れ、太股を伝っていくのにすら感じてしまう。
 もういい加減、解放されたいと願うカイジだったが、今度は体をぐるりと反転させられて、信じられない思いで目を見開いた。
「あ……待てっ、アカギ……っ、もう……」
 相変わらず、男根の根本はアカギによって戒められたまま。
 その状態で脚を開かされ、精液に塗れたアカギのモノをみたび後孔に押しつけられて、カイジは半狂乱になる。
 今この状態で、挿れられたらきっと気が狂ってしまう。
 すりすりと擦り付けられ、今にもずぶりと沈められそうなアカギの男根に恐怖を感じ、カイジは半泣きで叫ぶように言った。
「も、許し……アカギ……っ! 佐原は……っ、あいつは、そういうんじゃねえからっ……! オレはお前としかこんなことしねえっ、ずっと、お前だけだっ……! だから頼むっ、頼むからっ……!」
 情けない顔で懇願するカイジを冷たく見下ろして、アカギは言う。
「『頼むから』……? どうしてほしいの、カイジさん……」
「あっ、もう、イ、イかせてくれぇっ……!!」
 よほど追い詰められていたのだろう。普段ならぜったいに言わないような恥ずかしい言葉を叫んだカイジに、アカギは口角を吊り上げる。
 そして、張りつめたカイジ自身の根本から指を離してやるのと同時に、ヒクヒクと物欲しげに蠢くカイジの後孔に、自身を思い切り突き立てた。
「あっ! ぃ、あぁっ! ひっ、ひうぅっ……!」
 びくんと背を仰け反らせ、カイジは勢いよく精を迸らせる。
 アカギが突くたび、カイジの体はガクガクと震えてなんども白濁を撒き散らし、堪えに堪えた射精はそうやってしばらくの間、続いた。

 やがて、痛いほどの絶頂感がようやく去り、ぐったりとしてしまったカイジの顔を覗き込み、アカギはニヤリと笑う。
「ぁに……笑ってん……だよっ……」
 乱れた息の合間を縫って気怠げに問いかけられ、アカギは軽やかな調子でカイジに告げた。

「知ってたよ」
「……え?」
「あんたが佐原さんと浮気なんてしてないってこと、最初からわかってた」

 言葉の意味を理解できず、ぽかんとするカイジに目を細め、アカギは続ける。
「オレを、嫉妬させようとしてたんでしょ? あんたの望みどおり、嫉妬に狂った風にヤってみたんだけど、どうだった? ……あんたも、満更じゃなかったんじゃない?」
 カイジはカッと赤くなった。
 見抜かれていたのだ、ヤキモチを妬かせてやろうという、佐原の企みを。
 ……ということは、さっきまでのアカギらしからぬ言動は、すべてを見通した上でのアカギの演技だったのか!?

 だとしたら。

『オレはお前としかこんなことしねえっ、ずっと、お前だけっ……!』
『あっ、もう、イ、イかせてくれぇっ……!!』

(オレはなんつう、恥ずかしいことを……ッ!!!)
 顔から火を噴きながら身悶えるカイジに、アカギはさらに追い打ちをかけるように言う。
「それと……あんたなんか勘違いしてるみたいだから言っとくけど、居酒屋で一緒に居たのは、最近世話になった組の姐さんだよ」
「……はっ?」
 立て続けに耳にする衝撃の事実に、カイジはぴたりと固まる。
「本当はあの人の旦那と三人で店に来たんだけど、ちょうど店の前で旦那の方に電話がかかってきたから、先にふたりだけで呑んでることにしたんだ。……あんた達が店から出て行く頃には、まだ店の前で電話してたと思うんだけど、見なかった? 黒いスーツの男」
「……あっ!」
 カイジの脳裏に過ぎったのは、佐原と店を出たときに、不注意でぶつかってしまったスジモノ然とした男。
 言われてみれば確かに、携帯を耳に当てていたような気もする……すぐ逃げ出したから、はっきりとは覚えていないけど。

 謎の女性の正体が判明し、ついでに言うならアカギが見知らぬ女性とふたりきりで呑んでいたわけではないということもわかった。
 だけど、それならそれで。
「お前っ、なんでもっと早くそれを言わねぇんだよっ……!!」
 あの場でそれを伝えてくれれば、余計なことを考えずとも済んだのにと、カイジはアカギに噛みつく。
 すると、アカギはカイジの顔をまじまじと見て、ふっと笑った。
「カイジさん……ヤキモチ妬いたんだ?」
「……!!」
 図星を指され、カイジは赤い顔をさらに真っ赤にする。
「オレはてっきり、あんたは嫉妬なんてしないもんだと思ってたから、言う必要のないことは言わなかっただけなんだけど」
「……う、ぐ……」
「案外、かわいいとこあるんだね」
 クスクスと性悪な顔で笑われ、カイジは屈辱にギリギリと歯を食いしばる。

「それにしてもさ……カイジさん。ずいぶん……思い切ったこと考えたもんだね。オレを試そうだなんて」
 一頻り笑ったあと、アカギは声を低くしてそう囁く。
「は? 試す……?」
 首を傾げたあと、カイジはハッとする。
 アカギは、ヤキモチを妬かせようとしたことについて言っているのだ。あれは正確には佐原が企んだことなのだが、アカギの中ではカイジが首謀者になっているらしい。
「違うっ……!! あれは、佐原が勝手に……っ!」
「でも途中から、あんたも乗ってたじゃない」
 そう指摘され、カイジはうっと言葉に詰まる。
 確かに、アカギが嫉妬している様子を見せたとき、佐原との関係を匂わすようなことを敢えて口走ったような気がする……

 弁解のしようもなく黙ってしまったカイジに、アカギは目を細め、繋がったままの腰を揺する。
「あっ!」
「……いいよ。オレのこと試そうだなんて、そんなこと二度と考えられないようにしてやるから」
 舌舐めずりをして獰猛に笑うアカギに、カイジは蒼白になった。
「ぃっ、ア、アカギっ……! ダメ、もう、無理だってっ……!!」
 アカギの下から逃げだそうとするが、手首が拘束されていては、うまくいくはずもない。
「クク……、まだまだ音を上げて貰っちゃ困るな、カイジさん。夜はこれから、なんだから」
 そう言って深く口付けられ、なすすべなくアカギの魔の手に絡め取られながら、カイジは怒りと後悔と羞恥の念で、気を失いそうになるのだった。





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