年下の男(※18禁)・1 アカしげカイ3P カイジさんが淫乱



 その部屋に上がってすぐ目に入った光景に、赤木しげるはこれ以上ないほど眉間に皺を寄せた。

「あっ……アカギっ……!」

 自分の登場に、部屋の主がぱあっと表情を輝かせる。
 それはアカギにとって、気分の悪くない反応だった……その男が、素っ裸でベッドの上に転がされてさえいなければ。
 ノックをしても返事はなく、ノブを捻ると扉はあっさり開いた。
 玄関先に転がっていた白いスニーカーを見て、感じた嫌な予感が的中したと、アカギはベッドに近づいてその傍らに立つ。

「ここでいったいなにをしてやがる……クソガキ……」

 アカギが底冷えするような声で呼びかけたのは、情けない姿を晒している男ではなく、同じベッドに乗り上げている十三歳の自分自身だった。
 その手に握られているのはガムテープ。よくよく見ると、醜態を晒している部屋の主の手首は、体の前で一つに纏め上げられ、茶色いテープでぐるぐる巻きにされている。

 少年の赤木しげるは、十九歳の自分にちらりと目線を投げる。
「なにって……見ればわかるでしょ。今から、カイジさんと遊ぶんだよ」
 邪魔しないでくれる? と牽制する声は、アカギに負けじと絶対零度の冷たさを孕んでいる。

 ふたりの赤木しげるは、そのまま静かに睨み合った。
 まるで幽鬼が睨み合っているようなその光景は、チンピラやヤクザ、果ては地獄の鬼でさえもビビって逃げ出すであろうと思われるほど恐ろしいものだった。

 凍りつきそうに冷え切った空気の中、カイジだけが手首の拘束を解こうとガサゴソ藻掻いていた。
「おいっしげるっ、これ解けよっ……!!」
「解くわけないでしょ」
 カイジの方を見もせずに、しげるはぴしゃりと言い放つ。
 カイジはチッと舌打ちして、今度はアカギに助けを求めた。
「なぁ……アカギぃ、頼むっ……これ解いてくれよぉ……!!」
 太い眉をハの字に下げ、憐れっぽい声で懇願する。
 カイジにとって、アカギの登場はまさに天の助け。この悪漢が、まるで白馬の騎士のようにも見えた、のだが。
 しげるを睨めつけていた物凄い形相のまま、アカギが自分を見たので、カイジはびくうっと体を竦み上がらせた。
「説明して貰おうか、カイジさん……どうして、こんな状況になったのか」
 ゆらりと一歩、自分の方へ近づいてくるアカギの恐ろしさに唾を飲み、カイジは口を開く。
「どっ、どうして……って……」
 しげるの方をちらりと見てから、震える声で続けた。
「おっ、おかしいよな……途中までは、フツーに会話してたはずなんだけど……なんか気がついたら、こんなん、なってて……」
 語尾を曖昧に溶かし、へへっと力無く笑いを漏らすカイジに、アカギは眉間に皺を寄せたまま大きくため息をつく。
「つまり、あんたの油断が招いた事態ってワケか……あんたどうして、そんなにこのガキに甘いんだ」
 痛いところを指摘されて、カイジはうっと言葉に詰まる。
 うっすら涙目になり、それでも言い訳しようと試みた。
「だって……しげるは、年下だしっ……なんか、気が緩んじまうっていうか……」
 すると、ふいにぐいっと体を起こされ、眼前に迫ったアカギの怒ったような顔に、カイジは息を飲んだ。
「……オレだって、年下なんだけど」
「アカ……、んんっ……!」
 言葉を紡ぐ隙を与えず、顎を持ち上げて口づけられカイジは目を大きく見開いた。
 アカギは口付けをすぐに深いものに変え、自らの舌をカイジの口腔内にねじ込んで貪る。
 怒りをぶつけるような激しさに、しげるは呆れた顔で失笑した。
「なに、嫉妬? みっともない」
 挑発的に鼻で笑い飛ばすが、アカギはまったく聞こえていないかのように淫らな口付けを続ける。
「ぁふ……あ、ぁ、んっ……」
 舌を絡めて引きずり出し、くちゅくちゅと透明な唾液を溢れさせながらの官能的なキスに、カイジの口から艶っぽい声が漏れ始め、次第に表情がとろんと蕩けてきたのを見て取ると、しげるは流石にむっとする。
「ちょっと……いい加減、」
 アカギの肩に手をかけると、ようやくふたりの唇が離された。
 はぁ、はぁ、と荒い呼吸を繰り返すカイジと透明な糸で繋がったまま、アカギは横目でしげるを見遣る。
「嫉妬か? ざまぁねえな……」
 仕返しとばかりに笑われ、しげるは細い眉を跳ね上げた。
 カイジの濡れた唇を親指で拭いながら、アカギは低い声で言う。
「どいてな、クソガキ。今からこの駄犬に、飼い主がいったい誰なのか、たっぷりとわからせてやらなきゃならねえ……」
 いやらしいキスのせいでひどく敏感になっているカイジは、至近距離で鼓膜を震わすアカギの声にすらぴくぴくと体を跳ねさせている。
 もじもじと擦り合わされている足の間の陰茎も、すでに勃ち上がりかけているようだった。
 キスだけでこんなにも恋人を骨抜きするなんて芸当は、まだまだ経験の浅い自分には到底できないことだと、しげるは悔しさに唇を噛みつつも、カイジの体をぐっと抱き寄せる。
「飼い主がどうとか、変な言い方するなよ。この人は、犬じゃねえ……」
「しっ……、しげるっ……!」
 まるでアカギの魔の手から自分を守ろうとでもするかのようなしげるの言動に、カイジは感動してうるうると瞳を潤ませる。
 だが、直後、しげるがベッドの上に膝立ちになり、スラックスのベルトを外し始めたので、カイジの涙はすっと引っこんでいった。
 硬直するカイジにクスリと笑いかけると、しげるはスラックスと下穿きを纏めて落とす。
「カイジさんは、犬なんかよりずっとおりこうなんだから……バターなんて塗らなくても、ちゃんと舐めてくれるし……」
 先ほどまでアカギとのキスに耽っていた唇をやわらかく撫でながら、しげるはやさしく囁く。
 卑猥な言葉で貶められ、カイジは目許を赤く染めた。
「なっ……、お前、なに言って……っ!」
「……舐めてくれるでしょ?」
 黒い頭を押さえて屈ませ、まだやわらかいままの性器を眼前に突き出すと、カイジはさらに顔を赤くしてうつむく。
「どうしたの? いつもみたいにやってみせてよ……うまくできたら、いっぱいきもちよくしてあげるから……」
 ね? と、蠱惑的な笑みを投げられて、カイジはごくりと唾を飲み込む。
 半勃ち状態のカイジの性器が、期待にヒクリと揺れた。
 黙ったままのアカギが気になるのか、落ち着かなさげに視線をうろつかせていたが、カイジはやがて恥ずかしげに目を伏せてしげるのモノに唇を落とした。



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