ナイトプール・2(※18禁)
最初のうちこそ『ヤクザの貸し切りプール』にビビりまくっていたカイジだったが、美しく広い水の中で自由に泳ぐうち、だんだん緊張が解れてきたようだった。
温水プールの水は冷たすぎず温すぎず、ちょうど心地よく肌に馴染む。
辺りはすっかり闇に沈み、周りに聳え立つビル群の夜景が、目眩を覚えるくらい壮麗だ。
思う存分泳ぎまわり、やや疲れたカイジは立ち止まって、思いきり息を吸い込んでみる。
都会の夜の匂いと、水の匂い。心ざわめくようなそれらに、カイジはひどく満ちたりた気分になる。
この夏はバイトと家の往復ばかりで、今年はなにひとつ、夏らしいことができなかった。
このまま終わっていくものだと、虚しく日々を過ごしていたのに、まさかこんなサプライズが待ち構えていようとは。
カイジの口角が自然にあがる。これも、あいつのお陰だな。いつも、傍若無人に振り回されてばかりだけど、たまには粋なことするじゃねぇか。
素直に感謝を伝えようと、カイジはすこし離れた場所にいるアカギを振り返る。
「おいアカギっ、ちょっとこっち来い……」
笑顔で呼びかけ、カイジは固まった。
「やっ……あぁ……ん」
どこからともなく響いてきた、甘ったるい女性の声。
思わず声のする方を見て、カイジは仰天した。
デッキチェアの上で、男と女が睦み合っている。
さっきから、女が男の足の間に座り、人目も憚らずイチャイチャしていたのだが、いつの間にか、男の片方の手は豊満な乳房を揉みしだき、もう片方の手はビキニショーツの中に入って妖しく蠢いている。
女は茶色い巻髪を振り乱しながら、男の手で切なそうに身悶えている。
途切れることなく響く嬌声と、目の前で繰り広げられる痴態に、カイジが目を白黒させていると、
「ねぇ、カイジさん」
「うわぁっ……!!」
耳にあたたかい息がかかり、カイジは飛び上がった。
「おっ、おま、おま、」
思わず後じさるカイジの腕を、アカギが掴む。
「あんたが呼んだから、来たんだけど」
「あ、そ……か、そうだっけ……」
そっけない返答に頷きかけ、カイジはブンブンと首を横に振る。
「じゃねぇっ……!! お前、あれ、アレはっ……!?」
しどろもどろになりながら、カイジはアカギに必死で問いただす。
間違っても指さしたり、騒ぎ立てたりしてヤクザの不興を買ってはいけないと、身振り手振りでコトの異様さを伝えようとする。
「アレって……」
アカギはカイジの様子をじっと見て、デッキチェアとは真逆の方向を顎でしゃくった。
「あれのこと?」
「!!!」
カイジは文字どおり絶句した。
カイジとアカギから離れた場所で泳いでいた男女。女が男の首にすがりつき、唇を重ねている。
水音の響き渡るような卑猥なキスの合間に、女が悩ましげな声を漏らしている。やがて、女の背に回された節くれだった太い指が、真っ赤なビキニの紐を解いた。
ボロンと溢れでるたわわな胸に、カイジはあんぐりと口を開けた。これは現実の光景かと、幾度も目を擦る。男が女の乳首を吸い始めたところで、慌てて目を背けると、今度はプールサイドに座った男の股に顔を埋める女の姿が視界に飛び込んでくる。
気がつけば、ヤクザ貸し切りのナイトプールは、屋外セックス会場と化していた。
煌びやかな都会の夜空に響き渡るいくつもの淫らな声と、興奮に荒くなった吐息。
男の手によってビキニを取り去られ、白く若い肌を惜しげもなく晒されながらも、女たちは恥じ入る様子もなく、切なげな声をあげて快感に悶えている。
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