エピローグ(※18禁)・2
ふかふかの白い綿布団は、上質な薄い絹で被覆されていた。
仰向けに押し倒されたカイジの体が、どこまでも沈み込んでいくようにやわらかいのに、それでいてしっかりと受け止めてくれる。
雲のような寝心地に、今まさに情事に及ぼうとしていることも忘れ、カイジは感嘆した。
「すげぇな、この布団。めちゃくちゃ高そう……」
「あんたに出会うまでは、ここが、オレの寝床だった」
カイジに覆い被さりながら、少年は言う。
「どうりで……さすがは、神さまの寝床だな。いい夢、見れそう」
冗談のように言ってカイジは笑ったが、少年はすこし考えるような顔をしたあと、首を横に振った。
「オレは……、狭くても、あんたの家のベッドの方が落ち着くよ」
「……っ、」
囁くように言われ、するりと頬を撫で上げられて、カイジは息を飲む。
「せ、狭くても……は、余計だろうがっ……」
真っ赤な顔でぶつくさ言うカイジに目を細め、少年はカイジの頬をやさしく撫でながら、唇を重ねた。
「……ん……っ」
唇、舌、歯列、吐息。
口付けで知り得るカイジの特徴を、余すところなく我がものにしようとするように、少年は貪欲にカイジの唇を吸う。
その強引さに翻弄されつつも、カイジも負けじと少年のことを知ろうとするように、舌を絡め、相手の口内をまさぐった。
密やかな水音が、鼓膜を揺らす。聴覚からも官能を刺激され、カイジは頭がぼうっとしてくる。
たっぷり互いの唇を貪ったあと、少年は糸を引きながら唇を離す。
無意識に、少年の舌を追うように、濡れた舌を自ら差し出すカイジ。
誘われるまま、ふたたび口付けたくなる衝動を耐え、親指でカイジの唇を拭ってやると、少年はわずかに身を起こした。
少年がTシャツをたくし上げると、カイジはかぁっと赤くなりながらも、着ているものを自ら脱いで半裸になった。
緊張のため、しっとりと汗ばんでいる肌に指を滑らせ、少年はカイジの首筋に顔を埋める。
ちゅっ、と音をたてて吸い上げ、ぬるりと舌を這わせると、カイジは面白いように体を跳ねさせた。
「……っ、く……」
顔を背けて唇を噛み、下半身に響く擽ったさに耐えるカイジ。
すこし、いじめてみたくなって、少年は濡れた線をつけながら、唇を下へと移動させる。
いきなり胸をぬるりと舐められ、カイジはビクリと背を引き攣らせた。
「あっアホ……っ!! どこ吸って……、ッ!」
目を白黒させるカイジを無視し、少年は乳暈を軽く吸い上げる。
「ぁ……ッ!!」
初めて聞く、悲鳴に似たカイジの甘い声。
もっと聞いてみたいと、少年は執拗にそこを責め立てる。
「やめ……、ソコばっか……ッ」
噛んだり舐めたり指で摘んだりして、少年がソコを弄んでいると、上擦った声でカイジが咎めてくる。
ツンと尖った乳首に歯を当てたまま、少年は上目遣いでカイジを見上げる。
「だって……カイジさん、本気で嫌がってないから……」
カイジは頬にさっと朱をのぼらせ、戸惑ったように視線を彷徨わせる。
「っ、そんなこと……っ」
「ここは、嫌……?」
「……ぁ……っ」
少年が喋るたび、歯と舌と熱い吐息が敏感な突起を刺激して、カイジは涙目で身を捩る。
紙行灯のあたたかな光に照らされながら、自分の手管ですこしずつカイジが乱れていくのを、花が綻ぶのを見守るような気持ちで、少年はひたむきに見つめる。
出会った日から、ずっと隣で見てきた。
その存在に今、手が届いている。
子ども扱いされて悔しい思いをしたり、人間の女性にヤキモチを妬いたり、自分の未熟さを思い知らされたり。
もどかしいことだらけの片恋だったけれど、それがこうして実った今は、すべてが懐かしく、あたたかく感じられる。
新しい刺激を与えるたび、少年が見たことのない表情や反応を見せるカイジ。
もっと、もっと色々なカイジを見てみたくて、少年はさらに下へと手を伸ばした。
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