ドライブ(※18禁)・1 アホエロ
黒塗りの車のスライドドアが開くのと同時に、カイジは大きく目を見開いた。
「……アカギ……」
後部座席に足を組んで座っていた白い男が、無言のままカイジを見上げる。
「やっぱり、てめぇの仕業かよっ……! いったい、どういうつもり……、ッ!?」
反射的に吠えつくカイジを、後ろにいた黒スーツの男が、強引に後部座席に押し込める。
「は、離せ……っ! なにしやがるっ……!」
抵抗虚しく、バタンとドアの閉まる音が響く。
「くそっ、勝手なこと……っ! おいっ……! 降ろせよっ……!」
助手席に座っている髭とサングラスの男に向かって怒鳴るが、振り向きもしない。
カイジを無理やり後部座席に押し込んだ男が運転席に乗り込むと、夏の宵闇の中、車は静かに走り出した。
ぐんぐん遠ざかっていく自宅アパートをリアウィンドウ越しに呆然と見つめたあと、カイジは悠然と隣に座っている男を、射殺さんばかりの目で睨みつける。
「……ヤーさんまで使って拉致とは、いったいどういう了見だ、あぁ? 答えろっ、アカギっ……!」
バイト帰り、自宅の前で待ち構えていたヤクザに取り押さえられ、待機していた車に無理やり乗せられるという無体を受けたカイジは、首謀者であろう白い男に食ってかかる。
冷ややかにカイジの目を見返しながら、アカギは静かに口を開いた。
「……どういう了見って、」
言うが早いか、ものすごい力で頭をぐいと押さえつけられ、カイジは目を白黒させる。
「こういう了見」
無理やり伏せさせられた顔の前、ジーンズのジッパーを下ろす白い指が目に入り、一瞬でアカギの考えていることを悟ったカイジの腕に鳥肌がたつ。
「てめ、ふざけんなっ……!! はなっ、離せよっ……!!」
逃れようと遮二無二暴れるも、狭い車内の後部座席では思うように身動きが取れず、また荒事に慣れているアカギは相手の力をいなす手管にも長けているため、カイジは結局碌な抵抗もできぬまま、アカギの下肢に顔を埋める羽目になった。
今にも相手に飛び掛かろうとするような、怒りに血走った目に唇を撓め、アカギはカイジの頭を押さえつけたまま、片手で器用にジーンズを下ろして自身を取り出した。
「咥えろ」
萎えた生ぬるい肉塊で頬を叩かれ、カイジは屈辱にカッと赤くなる。
歯を食いしばって意地でも口を開くまいと抵抗していると、前髪を掴まれ、ぐいと後ろに引っ張られた。
「……っぐ、ん……ッ!!」
思いきり仰け反らされた喉がぐんと引き攣り、呼吸を確保するため反射的に開いた口に、容赦なくアカギのモノが突っ込まれる。
思わず嘔吐きそうになり、頭を振って逃れようとするカイジに、アカギは低く舌打ちした。
「……歯、立てたら殺す」
初めて聞くアカギの凍てつくような声に、カイジの喉奥から「ひっ」と短い悲鳴が漏れる。
カイジを睥睨する鋭い目が、先の言葉が大袈裟ではないことを雄弁に物語っている。
ヤクザの運転する車に拉致され、五分も経たないうちにこの有様。
正に寝耳に水、青天の霹靂といった展開に、カイジはパニックに陥りそうになる。
この車内には他人が二人も乗り合わせているのだ。こんな状況でフェラチオしろだなんて、狂気の沙汰である。
後部座席の様子など預かり知らぬかのように、車は快適な速度で走り続けている。前方の様子を確認したくとも、押さえつけられた頭は一ミリも上げることができず、まさに八方塞がりの状況。
こうなってはもう、アカギの思惑どおりに動くしかなく、カイジは屈辱と怒りで気が狂いそうになりながらも、口の中の男根に渋々舌を這わせた。
卑猥な音を車の走行音に紛れさせるようにしながら、わざとらしいほど緩慢でおざなりなフェラチオをするカイジ。
この期に及んで尚、反抗的な態度を崩さないカイジに、アカギは獰猛な顔つきになる。
「下手くそ」
「ッ!! ん、っぐ、ンーー!!」
髪を掴んで無理やり喉奥まで咥えさせられ、カイジは嫌悪感に総毛立った。
そのまま激しく頭を上下させられ、あまりの苦しさにカイジの目に生理的な涙がじわりと膨らむ。
じゅぷじゅぷと大きな音をたてながら、まるでオナホのように扱われ、本気で口の中のモノを噛み千切ってやりたい衝動に駆られる。
しかしそんなことをしようものなら死ぬより酷い目に遭わされるのは必然で、今カイジにできる反抗といえば、ジーンズの上からアカギの腿に爪を立てることくらいであった。
きつく目を閉じ、一刻も早くこの破廉恥な行為が終わることだけを望んでいるカイジは能動的に口淫をしなかったが、ちょうど裏筋に舌が当たるのと絶え間なく溢れる唾液のおかげで、アカギのモノはぐんと質量を増した。
大きく育ち、血管を浮き上がらせる陰茎にカイジが噎せ返っていると、やがてソレがずるりと口内から引き抜かれる。
カイジはすぐさま体を起こし、手の甲で唇を拭ってアカギを睨みつけた。
「ッてめぇ……、ブッ殺す……ッ!」
怒りに打ち震えるカイジに、アカギは「そう」と素っ気ない返事をして、カイジに口付けた。
「んぅ……ッ!?」
大きな目をさらに見開くカイジの口内を、薄い舌がひらりひらりと這い回る。
歯の形を一本一本確かめるようになぞり、上顎をぬるぬると舐め、頬の粘膜さえ余すところなく舐り回す。
「んっ……、ぁ、ふ……ぅっ」
隙間なく唇を被せ、引きずり出したカイジの舌を自分の口内に招き入れ、やわらかく咀嚼するようなアカギの巧みなキスに、カイジの体からは徐々に力が抜けていく。
駄目だ、このまま流されるのは非常にマズいと、頭の中に警告音が鳴り響いてはいるものの、快楽に弱い体は早々に理性を置き去りにして、アカギのキスにどっぷり溺れようとしている。
カイジの口内を犯し尽くし、満足したかのようにアカギが離れていくと、名残を惜しむようにふたりの舌を透明な糸が繋いだ。
半開きの口から舌を覗かせ、とろんと潤んだ目で熱っぽい吐息を漏らすカイジに、アカギは性悪な笑みを浮かべる。
「クク……、油断大敵だな、カイジさん」
「えっ? あ……っ」
淫靡なキスに惑溺している隙に、カイジの腕はアカギのベルトで後ろ手に縛られており、いっそう身動きが取れなくなっていた。
「くそっ……! 解け……ッ、ん……、ふ……っ」
思い出したように暴言を吐こうとしたカイジの口は、アカギの唇によって再度塞がれてしまう。
くちゅくちゅといやらしく舌を絡めながら、アカギはカイジの腰に腕を回し、自分の腿に跨らせるようにして向かい合わせで座らせる。
「あっ! アカ、だめ、んっ、んぅ……」
ジーンズと下履きをずるりと下ろされ、露わになった尻を撫で回されてカイジは必死に抗議の声を上げようとするが、それはアカギの舌にとろかされて甘い喘ぎ声に変わってしまう。
しっとりと汗ばんだ冷たい尻の肉感を存分に愉しんだあと、アカギは自身の先に膨らんだ先走りを指に絡め、カイジの尻穴につぷりと挿入する。
「んッ! んぁ……あ、」
異物感にカイジは顔を顰めたが、あやすように舌を甘噛みされれば、たちどころに体の力が抜けていく。
さんざ開発された尻穴は、乾いた長い指をあっという間に飲み込んでいく。
指が三本入る頃には、カイジはあまりの快感に涙を零しながら、くったりとアカギにもたれかかっているのだった。
「ぅ……っ、う……ん、ぁ……ッ」
角度を変えて幾度も唇を啄まれながら、カイジの中を知り尽くしている指に前立腺を容赦なく突かれ、逞しい背がビクビクと痙攣する。
いつの間にか、カイジのモノは完全に勃起し、ヒクヒク動く先端の小さな穴から、物欲しげに涎をだらだらと零していた。
すっかり牙を抜かれてしまった淫乱な体に、アカギは喉を鳴らして笑い、ずるりと指を引き抜いた。
「……挿れていい?」
くちゅ……と舌を絡めながら囁かれ、カイジは涙目で弱々しく首を横に振る。
前の座席に座るヤクザたちのことが気になるのか、落ち着かなさげにソワソワしているカイジの尻穴に、アカギは自身の先端を押し当てた。
「でもほら、あんたのケツ、勝手にオレのを食おうとしてる……」
「! ち、違……ッ」
カイジは耳まで赤くなって否定しようとするが、アカギの言うとおり、男根の味を覚えてしまった尻穴はヒクヒクとだらしなく蠢き、押し当てられた熱いモノにむしゃぶりつこうとしている。
「あ……ほら、入っちまう……」
「あっ! や、駄目……だって、アカ、んうぅ……っ」
アカギがしっかりと腰を掴み、軽く自身を突き上げただけで、待ってましたとばかりにカイジの尻穴はずぷずぷとアカギのモノを飲み込んでいく。
挿入の快楽に高い声をあげて仰け反るカイジの喉に歯を立てながら、アカギはゆっくりと抽送を始めたのだった。
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