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comune schiena
番外
あこ視点

11月も後半に差し掛かる頃。色付いてしていた葉っぱもそろそろ散り始める時期になってきた。
 
「ちゃおっす。久しぶりだな、あこ」
「久しぶり、リボーン」

それなりに私の家に訪れていたリボーンは、ツナの教育(といって良いのか…?)に忙しいらしく近ごろは私のマンションに来る事はなかった。
誕生日パーティー以来特に呼び出される事もなく、私の周りは平穏だ。実に良い傾向である。

そういえば、11月に入る前アズミが『学校でイーピンにあった!』と騒いでいたっけ。
結局その日は、ついつい睡魔に負けてしまい授業中に起こったらしい大爆発の音に気付かなかったのだけれど。


久しぶりの訪問に、私は記憶を思い返しながらも内心落胆していた。

ああ、もう平穏終わりか……と、ーー

「あこに前もって言おうと思ってな」
「また誰か来るの?」
「よく分かったな」
「何となくだけど…。今までの流れからしてそんな気が」


リボーンに紅茶を出して、自分は向かい側の椅子に座った。(最近私はコーヒーより紅茶をよく飲むのだ)

「その人いつ頃来るの?」
「12月だ」
「…もうすぐじゃん」
「なかなか予定が合わなくてな」
「どんな人なの?」
「へなちょこだな」
「ぇ、ーーー…」
「どうした?」
「い、いや別に何でもない」

…へなちょこと聞いて、思わず思考を停止させてしまった。

「(あの人来るの。うわー…楽しみ、かも。私もアズミのこと言えないなぁ)」

まぁでも、遠目で見れたら良いなーってくらいで、巻き込まれたくは絶っっっっっっ対にないんだけど。
 
「それで、私は今回何かしないといけないの?」
「特に無いな。
いや、あるとしたらツナの家で出迎えるくらいか…」
「ならいいね。私が行かなくても」

そもそも友人ならともかく、そんなにツナと親しい訳でもない私が出迎えるなんて可笑しな話だ。



その夜学校の課題を終わらせていると、アズミから着信があった。

『あこちゃーん!良かったねぇ。やっと会えるじゃん!』
「ああうん、まぁね。だけどねアズミ。私会わないから」
「ま じ で !?えええ、嘘ぉ!」
「ほんとほんと。会って話したいなーとは考えたんだけどね。あとあと面倒だなって……」
『いやいやでも、挨拶くらいはさぁ〜』
「それに、私……

 自分を抑えられないと思うんだ

『ぇ、』
「会ってしまえば私は隣に雲雀さんを据えたくなるし、二人が並んでる光景をあらゆる角度からなめ回すように観察してカメラと動画を回し悶え転がりさらにはその場で五体投地して拝み倒したいという衝動に駆られてしまうので、いっそ全く会わない方が自分も平静を保てるんじゃないかと思うんだよね。
自分が腐女子だと公言するつもりはないし、そもそもオタクがやっと浸透してきたこの世の中でもまだまだBLというジャンルは万人から受け入れられる趣味とは言えないから、変にみんなから気遣われたり身構えられても困るからね」
『・・・・・』
「アズミ?」

こら、無言って1番傷付くんだぞ。




『ん"〜…

あ!じゃあ、俺が毎回写メ撮る!』
「…は?」
『そんで、あこちゃんに送る!これならどう?』
「どう?って。どうって…

ーーなにそれ超絶最高アズミ愛してる」
『へへへ!じゃあそういう事で楽しみにしててよ。じゃね〜』
「うん、おやすみー」


「・・・・。やっばい。
私初めて友達で良かったって思ったかも(←)」

とまぁ、笑えない冗談はこれくらいにして、友人には本当に感謝だ。












ーー12月某日。イタリアから一機のプライベートジェットが日本に降り立った。

「ボス、ここから並盛まであと2時間くらいだ。予定より早く着いちまったな」
「そうだな。並盛に着いたらお前達だけ先にホテルに行って、チェックイン済ませておいてくれ。
ジャポーネに来たのは初めてだしな。俺は少し町の中を散歩してくるぜ」
「おいおい、一人で大丈夫か?」
「大丈夫だって。そんなに心配すんなよ!」

黒スーツの物々しい雰囲気の男達を引き連れ、ボスと呼ばれた青年が快活に笑う。

思い浮かべるのは、久しく会っていない自分の"元"家庭教師の姿。
突然己を呼び出したかと思えば、風の噂に聞いた『あの』ボンゴレの後継者候補と自分を引き合わせる為という。
彼の考えている意図など、昔も今も己には理解や出来ないが、弟弟子とも言える少年に自分も興味があったので、どうにか執務を終わらせて遥々日本の地へと赴いたのだ。


「楽しくなりそーだな」

そう呟いた青年と出会うまであと少し。



end.

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