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comune schiena
6


「えー。プリントにあるように、これが各委員会の部屋割りです」

教卓に立ち、各委員に配られたプリントを見ながら生徒会長が話している。

「(交通委員は〜…ってなんだ。一学期と同じじゃん)」
「えぇー、何これ!?応接室を使う委員会がある〜!?
ずるぅーいっ、どこよ!!?」
「ちょ、ちょっと」

他の委員会の活動拠点を見ていたのだろう一人の女子が驚きと抗議を混ぜた声を発した。それにかなりの動揺を見せる委員達。
声を上げた女子はまだ周囲の空気が変わった事に気付いてないようだ。

「(あーぁ、俺知〜らねっと)」

アズミは我関せずとその場面を眺めていた。

「それって風紀委員会だぞ!!」
「ハッ」

隣の席の男子生徒が焦りながらも伝え、
事の重大さにようやく気付いた女子生徒が、顔を真っ青に染めた時

 


「何か問題でもある?」

講義室の中に一人の生徒の声が響いた。

声を発した人物は、この委員会会議が始まってからずっと席に着かず、教室の窓に背中を預け佇んでいた。
サラサラと揺れる黒髪に鋭い眼光、口元は吊り上がっているが決して"笑って"はいないだろう。

「いえ、ありません!!す、すみません雲雀さん!」
「じゃ、続けて」
「は、はいっ!」

頭が机に付く程体を曲げて謝罪をしてみせた女子に、興味を無くしたのか生徒会長に会議続けるよう雲雀は言った。

「(やっぱり恐ーっ!!この前思ったけど、あこちゃんってよく雲雀さんと普通に話せるよね…)」

切迫した空気がほんの少しだけ和らいだお陰で、安堵の溜息を出すアズミ。
しかし、それもつかの間だった――…


「でも、おかしくない?応接室を委員会で使うっていうのは」
「確かにそうだよな」
「いえてる、いえてる」
「風紀だけ特別扱い反対〜」

一人の男子生徒の声を切欠に、何人かが賛同し始めたのだ。
生徒を見れば、どうやら普通なら各委員長一人ずつ参加する会議である筈なのに数人で参加しているようだった。

「(おいおい馬鹿じゃね?雲雀さん相手にそんな風で発言したら…)」
 

.雲雀の目が一瞬鋭く光った気がした。周囲がどよめく。

「君達は仲良し委員会?代表は各委員会1人のはずだけど」
「緑化委員は特別なんです。地球温暖化の事とかあるし意識が高いんだよな〜、俺達」
「ふ〜ん、そう…」

ギャハハと下品な笑い方をしながら相手をおちょくっるように言う数名の緑化委員会。
他の委員も含めて、アズミは彼らを不愉快そうに眉を寄せて見ていた。



そして、その様子を外から観察していた人物――リボーンがいた。

「雲雀恭弥。…おもしれー奴だな」

レオンが変身した双眼鏡から目を外し、何か閃いたというようにリボーンが笑った。




「おい」
「うわ!…っと。何だリボーンか」

委員会が無事(?)終わって、アズミが部活に行こうと講義室から出たところで、突然リボーンから声を掛けられた。
咄嗟に周囲に目線を巡らせれば、今はちょうど誰も廊下を通っていなかった。

「"雲雀恭弥"について何か知らねーか?」
「雲雀さんは、並盛でかなり有名な人だと思うけど…。リボーン調べてなかったの?」

リボーンの質問に内心意外だとアズミは驚いた。

「書類上のは既に把握してる。主観的な部分でヤツの情報が聞きてーんだ。いいから話せ」

今にも銃を向けそうなリボーンに、アズミは慌てた。

「俺が知ってる情報はみんなと大して変わんないよ!
雲雀さんは並盛中の風紀委員長で、ここら辺一帯の不良の頂点に立ってる人。
んで、群れてるものが大嫌いで歯向かうヤツは全員仕込みトンファーでめった打ちに合うって話!
ここの生徒の恐怖の対象で要注意人物。
まあ、並盛で1番強いのは確かだと思うよ。


というか、雲雀さんの事聞くなら俺よりもあこちゃんの方が……あっやべ!」
「あこ?」
「あ゙〜いや…その、あはははは」

思わず友人の名前を出してしまい、アズミは冷や汗が出た。
笑って取り繕うには遅すぎて、ばっちりリボーンに伝わってしまった。

「(ご、ごめんねあこちゃーん!)」
「あこが知ってるなら調度良かったぞ。今回は2人のどっちかに手伝いを頼もうと思ってたからな」
「そ、そうなんだー。
(あこちゃん本当にごめん…。でも俺、薄情だけど正直いま喋って良かったと思ってるよ!)」

友人に対して心の中で平謝りするものの、自らの危機が回避された事に心底安堵するアズミであった。






「あこ、ちゃおっす」
「っ!な、なんだ…リボーンか」
「雲雀恭弥と面識あるのか?」
「(意外。まだ知らなかったんだ…)
まぁ、他の人よりは多少あると思うけど…。何で?」
「都合が良いな。実は雲雀をファミリーに入れようと思ってな」
「雲雀さんを…?
確かに入ったなら、ファミリーの戦力アップには十分だけど……正直かなり難しいと思うよ?
基本単独行動が好きで、指示されるの大嫌いって感じだし。あの人の手綱握るの沢田君には無理でしょ」
「ファミリーに入れるのは"難しい"だけで出来ない訳じゃないんだろ?」

にやりと笑うリボーンを見やりあこは仕方ないというように溜息をこぼした。

「何事も、絶対とは言い切れないからね。
それで、私は何をすればいいの?今回手伝わなきゃなんでしょ?」
「あぁ。俺が連絡したら、救急セットを持ってアズミと屋上に来い」

あこがリボーンの言葉に目を丸くした。

「もっと大変な事頼まれるのかと思った…」
「そのつもりだったんだが止めにしたぞ。
ヤツの拠点までツナ達を案内させようと考えてたんだが、色々聞く限りじゃおめーに怪我をさせちまうかもしれねーからな」
「そうだったんだ。ありがとう…
(ナニソレ超危なかった!)」
「女に危険なことはさせられないからな。イタリアの男は女を大切にするんだぞ」
「そっか。さすがリボーン」
「まーな」


危険な事を頼まれずに済んで安堵しつつ
赤ん坊(外見)がえっへんと胸を張る姿が微笑ましくあこは密かに癒された。



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