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comune schiena
8
あこ視点 

「(薄々分かってましたけどねー。次は自分の所に来るんじゃないかって事くらい)」

部活の休憩時間、突然水飲み場に現れたのは黒いスーツの赤ん坊。

「如月あこだな?」
「…そうだけど、何かな?」

厄介事だと頭が訴え掛けてくる。
眉間に皺が寄りそうになるのを、必死に抑え込んで、今出来る精一杯の笑みを浮かべた。

「そんなに嫌そうにしなくても良いだろ」
「(やっぱりばれてるか)」
「おめーに聞きたい事がある。確かめたい事があってな。正直に答えねーと……」

目の前には拳銃。脅しのつもりか、はたまた本気か…
顔には出さないようにしてるが、ひしひしと伝わる相手の警戒で、背中に冷たいものが伝うのを感じた。

「コレに驚かないんだな?」
「アズミから、流暢に話す変な赤ん坊にソレを突き付けられたって話はもう聞いてたし」
「そうか。まあ良い…、とりあえず俺の質問に答えろ」
「なに?」
「両親が死んで、今現在援助しているのは親戚、だったな」
「そうだけど…。それが?」
「その親戚と面識は?」
「………。
(そういえば、一人暮らしについての設定は管理人から確認していたけれど、 その辺りについては触れてなかったな。さて、どう答えるのが最善か…)」「答えられねーのか?」
「………面識はないし、正直何をやってる人なのかも解らない。理由はどうであれ、こうして援助してくれてることについては感謝してるけどね」
「会ったこともないのにか?」
「まーね。それなりの生活を送らせてもらってるしね」

素知らぬふりをする私に、リボーンは探るような視線を送る。
私はなるべく顔に出ないよう気をつけることしかできない。
(嘘をついた訳じゃないし、それで疑いが晴れるとは思ってないけど)

「……」

沈黙の後、リボーンが銃を下ろした。
とりあえずは大丈夫ということだろうか。

「おめー…。

真顔が能面みてーだな」
「はぁ?」

――今それ関係ないよね??

確かに今まで自分の真顔について何か人から言われた事がない訳じゃない。寧ろ多い。
無愛想だとか、冷めて見えるねとか……。
リボーンの言葉にショックを受けつつ、さっきまでの警戒が、解けている事に気付き、私はほっと肩を撫で下ろした。



.
「おめー、だいぶ肝がすわってるな。いや、鈍いのかもな」

表情の判断がしにくいが、雰囲気的にリボーンは笑っているように思う。

「(激しく嫌な予感……)
そんなことないと思うけど??」
「普通なら人は銃突き付けられたらビビるだろうが」
「赤ん坊が本物の銃持ってる訳ないと思わない?」
「この銃本物だけどな。試してみるか?」
「やめとく」
「そうか?まあ、おめーを撃ってもきっとそのまま死ぬだけだしな」
「あー…。(死ぬ気弾のことかな)」


怪しまれたくない一心で、言葉を並べていく。
出来ればボロが出る前に早くリボーンには帰ってほしい。

「じゃあな、また来るぞ」

幾つか言葉を交わしてようやくリボーンは帰ってくれるらしい。

「そういえばまだ名乗ってなかったな。俺の名はリボーン。ヒットマンでツナの家庭教師だ」

「ツナって、同じクラスの沢田君?」
「そうだぞ。今のうちに仲良くなっとけば、将来助かるぞ?」
「あはは、遠慮しとくよ。なんか色々大変そうだし…、面倒な事は嫌いなんだ」

ご丁寧に、そんな事まで教えてくれるとは…。

どうやら今後自分と友人が関わっていくことになるのは決定事項になったらしい。
今日の帰りは、理不尽な嫌味でも言って友人を困らせることにしようと思った。





end.

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