Seasonable 2 教室の扉を開け、目に飛び込むのは抱きついてきた紅の姿だった。 昨日の泣き顔など見る影もなく、いつもの笑顔だった。 「進。おはよっ!」 紅が満面の笑みであいさつをすると、進も笑みをこぼした。 「あぁ。おはよう。紅」 と今まで以上に幸せそうな極上の笑みをかける。 そして紅を抱き上げ、一回りし、降ろした。 「やめてよ〜」 「抱きあげたくなるくらいかわいいから」 進の発した言葉に教室が凍てついた。 騒然。唖然。呆然。 正確には、二人の周りだけ花畑。 それ以外が、だ。 もちろんぬかりなくとどめをさす。 「進〜」 そう言って抱きつく紅に、 「また、振り回されたいのか??」 などと言って額に口づけた。 教室を"絶対零度"が襲った。 (進さんてあんなキャラでしたっけ??) (さぁな。俺もあんなのは見たことない) (見てるこっちも恥ずかしいですよ) (まったくだ) 後ろから二人の様子を見る津村と山辺は、短い溜息をついて視線をそらした。 [*Back][Next#] [戻る] |