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むかつくアイツは、気になるソイツ
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「んンっ…や…ぁっ やめっ…!!やめろ…って、言ってんだろ!!」

 互いの唇の出来た隙間からなんとか声を出しながら、『ドン!!』と神崎の胸を強く叩いた。

「ン!!…はぁ……。ちょっと、聖二さん。もうちょっと、可愛く啼けないんですか?」

 神崎は『痛ぇ…』と言いい、俺が叩いた胸を擦りながら少し笑って唇を離した。

「…ん…ってめ、何しやがる?」

 俺は肩で息をしながら、神崎を睨み、突然のこの行為について言及した。

「ふざけるのも、いいかげんにしやがれ。お前、そんなに俺のことが嫌いか?」

 いつもそうだ。いつも、いつも大事なところでこいつに仕事を持っていかれた。何故なんだろうと考えると、神崎は俺のことが嫌いだから、俺の仕事を奪うんだと俺の中で同じ答えを何回も出した。でも、その答えを見つけると何故だか俺は悲しい気持ちになる。嫌われているという事実がそうさせているのだろうか。

「ふざけてなんかいませんよ。しかも、嫌いってなんですか?俺、聖二さんに嫌いなんて言ったことないですよ。」

 いつのまにか呼び方が聖二に戻っていた神崎は、俺の肩に両手を置いたまま、覗き込むようにして俺の目を見た。

「…嫌いじゃなけりゃ、何なんだよ!?いつも俺の仕事奪うし、こんなオヤジに…き、キスなんかしやがって…。嫌がらせとしか…考えられないだろうがっ」

 情けない。たかが同性にキスされたぐらいでなんでこんなに泣きそうになってんだよ、俺…。

「…聖二さん、だから、仕事は奪ってなんかありませんって。それに、」

 神崎はため息を吐くと、いきなり俺を抱きしめてきた。

「ちょっと…!!?」

 急に訪れた圧迫感に驚いた。何故、抱きしめられているのか、わからない。

「聖二さんはおじさんでもないし、嫌いなわけ、ないじゃないですか。俺はこんなに可愛い29歳の人を知りませんし、嫌いな人にキスなんてしません。」

 ぎゅう…っと力を込めてさらに密着度が増したことに、俺は動揺を隠せないでいた。

「じゃ、じゃあ、なんで…?」

 理由が知りたい。なんで俺にキスしたのか、何で今こんなにも力強く抱きしめられているのか。
 心臓がうるさいぐらい鼓動を打っているのが嫌でもわかる。

「そんなの、好きだからに決まってるじゃないですか。」

 そう言うと神崎は抱きしめていた腕を解き、俺と向かい合わせになり、言葉を続けた。

「あなたのことが、好きなんです。聖二さん、俺と、…付き合ってください。」

 心臓が、止まるかと思った。一気に体温が上昇する。俺は射抜かれるように見つめられた瞳から逃げるように目を逸らしてしまった。
 だって…!! 好き!? 俺のことが!? 付き合う!? 俺、男なのに!?

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