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避けられた大戦

 いつもは大戦と言っても過言ではない遊戯時間。今日は、とある一角だけが平和だった。

「かぐらちゃん」
「光希……」
「どうしたの? おなかいたい? 光希のおやつ……、たべる?」

 そう。いつもだったら一番に騒ぎを起こすはずの神楽に、元気がない。ふぅ、とアンニュイな溜め息をつきながらも、光希が涙をのむ思いで差し出したおやつのクッキーは瞬時に平らげたが。

「……おいしい?」
「ありがとネ、光希」

 こくりと頷きながら礼を言う神楽に、光希は泣き出しそうな目を素早く誤魔化してからにっこり笑う。お菓子大好きな光希には辛い選択だったろうに。……健気すぎだ。

「ね、かぐらちゃん。どうしたの……?」
「……今日」
「きょう?」
「パピー、仕事でおむかえこれないアル。……だから」

 なるほど、父恋しさか。光希も小さく頷いた、のだが。

「だから……っあのクソアニキが来るんだよォォオオ!!」

 キャラ変わってますけど神楽さん。

「えー……かぐらちゃんのぱぱこないんだー……」
「そういう問題じゃねーだろ光希」
「あ、おにいちゃんがくるんだね!」
「……そういう問題でもねーよ」
「むー……じゃあなんなの、ぎんちゃん」
「あンのクソアニキ……っ! 銀ちゃん! その木刀貸すネ!」
「おー、とりあえず落ち着こうか神楽。俺はうちから殺人園児出したくはねーぞ。光希も論点違うしな」

 それに、と付け足してから、すっかり目が据わってしまった神楽を見る。八つ当たりされそうな雰囲気だったが、仕方ない。

「……お前の兄ちゃん、もう来てるぞ」
「は、」
「さっき来たんだけどな、早すぎるってんで職員室に居てもらってんだよ」

 その言葉に、神楽が持っていた積み木を取り落とした。かつん、という音が聞こえるよりも先に行動したのは、神楽ではなく。

「かぐらちゃんのおにいちゃん? わーいっ! みにいこっと」
「ちょっ、光希! やめとけ! 今高杉が……ッ」
「せんせーが?」

 遊戯室の扉を開けたまま振り向いている光希が、大きな目できょとりと問いかける。神楽の兄の対応に当たった高杉が、相当相手と相性が合わなそうにしていたことを言うべきか。
 そう逡巡している間に、光希は外から伸びてきた腕に抱き上げられていた。

「……何出ようとしてやがる」
「あ、せんせー」
「帰ったのか?」
「あァ……帰らせたぜ。神楽ァ、テメーの送りは銀時に行かせるからな」
「りょーかいアル!」

 元気になった神楽が、いつもよりちょっとだけ平和だった遊戯室に戦争をもらたしたのは、この五分後だった。


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いつにも増してぐだぐだですね\(^q^)/
次は書きたいものを書くことにします……





あきゅろす。
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