[携帯モード] [URL送信]

Title-story
5.これは夢…?

※現代パロ









学校帰りに、自慢の幼馴染であるルルーシュと談笑しながら公園に立ち寄って、たまたま営業していたクレープ屋に寄って、彼はブルーベリーバニラを自分はカスタードチョコレートを頼んで食べて。
そのまま駅前にできたと云う新しい文房具店を視察して、大学受験をスポーツ推薦で早々に決めたスザクはその足でバイト先へ向かう為、ルルーシュとは大きなカラオケ店前の交差点で別れた。


久々に食べたクレープが美味しくてついつい足取りが軽やかになってしまうけれど、自分はもう立派な高校3年生で、来年からは社会人の練習ともいわれる大学生になるわけで、あまりみっともない姿を公衆に晒す訳にはいかなかった。


『それにしても美味しかったな…あのクレープ屋さん、ずっとあそこにあれば良いのに……。』


3年生の男子高校生が、と笑われそうな内容の回想だったが、それがスザクの性格なので誰も矯正することは出来ない。


立ち止まっていた信号が青に変わり、それに付随して足が動き出す。

人ごみに溢れた表通りから、少し外れた裏道を使って目的の場所へ向かう……いつも通りのはずだった。



それが訪れなければ。


交差点を抜ければ、まさにそのまま交通量の多い表通りから商店街へ入れば良かった。


信号を渡り切って歩道に切り替えた時、一台の真っ黒なハイヤーがスザクを追い越し、数歩先で停車した。

すぐ近場で停まったそれに驚きこそしたが、スザクの実はが財閥の仕事をしているため珍しくもなかったせいか、何事も無く通り過ぎる。


すると車の助手席から黒服の屈強な男が現れ、後部席の扉を開く。


そんな振る舞いをこんな公道でする人間もいるのかと驚き立ち止まる一般人を尻目に、スザクは興味なさげに本日のバイトの事で頭がいっぱいだった。

先月のバイト代の残金が3万弱って事は、今月のナナリーの誕生日プレゼントは良い物が買えそうだ、なんて能天気に考えて車を通り過ぎる直前、目の前に薔薇の花束が差し出されて歩みが止まった。


真っ赤な、見事な薔薇の花束を差し出す手を辿れば、先程のハイヤーから降りたらしい男が一人、ガードレールを挟んだ向こう側に立っていた。

流れるようなプラチナブロンドの髪、薄い紫苑の瞳、象牙のような白い肌、均整のとれた美しい体躯と甘い微笑み、質の良いホワイトスーツだったが、彼が纏わなければ意味が無い――その辺の男性が着たとしてもただの道化に映ってしまうだろう。


はっきり形容すると、それは絵本の中から飛び出した本物の王子さまだった。


通行人達が驚愕の眼で自分を、穴が開くほど見ているのを感じた。


「、は……あの…貴方は………?」


咄嗟の事で言葉が出なかったが、彼はにっこり笑ってレールを軽々と飛び越える―――首都の歩道レールだけあって軽く1m半はあるだろうが。

目前に立ちなおした彼は、あろうことかそのまま片膝を突いてスザクの左手を恭しく取った。


「単刀直入に言おう……どうか、私に残りの一生を捧げてくれないか。」


そうして手の薬指の付け根に唇を落とす。


驚愕できょとんとするスザクと対照的に、周囲の女性達は黄色を通り越した金色の喚声を上げていた。




拝啓 父上様、僕はいま起きているのでしょうか、それともこれは……これは………

























―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


この後スザクはすげぇ勢いで走り逃げて、躱された殿下は自宅に押し掛けてダディに平手打ちにされると良い(笑)


[*前へ][次へ#]

5/6ページ


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!