Title-story
3.ズルい人
※原作設定
君はズルい人だね
私が強請るままに、はにかみながら微笑んで温もりをくれた
戯言に似せた心の叫びを受け入れていながら、その実、誰にだって慈悲の手を差し伸べてしまう
誰もが君の中では平等だった
皇子であろうと、宰相であろうと、上司であろうと、年上であろうと、君にとっては何の‘特別’にもステータスにもならない
現在を生きる私も、過去に生きた義弟妹も、君の父親も、君のすぐ傍にいる事を許された義妹も、学友も、日本人やブリタニア人でさえ、全てが等しく守るべき対象だった
君じゃないと嫌だ
君でないと駄目なんだ
大切なんだ
愛しているんだ
君の特別がほしい
言葉にすれば君は頷いてくれるのに、その言葉を受け入れてはくれない
「君が私に求めているのは、かつて日本に滞在していた義弟なのではないのか―――――……」
そう問うて、欲望のままに掻き抱いてやりたいという衝動に、何度襲われただろう
それでも、君がそんな瞳で笑うから
全てを守り抜こうとする、強く儚い瞳で笑うから、私はまた薄汚い独占欲を潜めてしまう
無自覚に、君はズルい人だ
そんな君だから、心を手に入れてみたくなる
貴方はズルい人だ
優しく甘い微笑みを浮かべているのに、心の中は仄暗く冷たい疑心に満ちている
胸に落ちてくる低い声で愛の言葉を囁きながら、本当は僕の心を信じていない
曝け出す相手がいないのだと苦く笑ったりなんかするから、僕は今日も貴方を慰める為に身を委ねる
罪人であるという戒めも、日本を侵略した国の皇子と繋がる背徳感も、貴方の腕の中にいると考えれなくなる
甘ったるいその時が終わって、貴方から突き放された時、そんな自分をもっともっと嫌いになって絶望すると云うのに
貴方が苦く笑ったりなんかするから
僕なんかに笑ったりするから
曝け出す相手になれないのなら、せめて傍にいるだけでも、なんて、愚かな考えを持ってしまう
貴方にとって、僕はただの都合の良い駒だって分かっているのに
騎士になって少佐になって、それでも貴方はやっぱり微笑んでいるだけだった
ルルーシュと良く似た色をした瞳は、相変わらずの優しく甘い眼差しを湛えているだけだった
馬鹿だ
僕は馬鹿だ
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たまには余裕の無い殿下も良いかな〜……なんていう妄想。
殿下→←スザクもなかなか萌えますな、えへへ
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