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Title-story
2.ランチタイム



※物知りな君〜頑張れ!青少年〜より 〜9/5までの拍手続編

 スザク+ランペルージ兄妹
















「はい、どうぞ。
 ナナリーやルルーシュの口に合えば良いんだけど。」

「そんな事ないですよ、スザクさん。
 とっても良い香りがします、美味しそうです。」


大きなテーブルに並ぶ料理の数々が醸し出す香りは、芳ばしい物や甘い物にまで至っている。
小さく切り分けられたホットサンドとオニオンスープは、胃弱で小食なナナリーやルルーシュにも食べやすいように配慮された物だとすぐに分かる。


この時間帯に帰ってこないシュナイゼルやクロヴィスを含めた晩餐では、一体どんな料理を作ってくれるのかが今から楽しみになってしまったのは内緒の話。


席について、小奇麗に盛られたそれらを口にする前に、ルルーシュはナナリーの胸元に純白のナフキンを掛けてやる。

普段ならば大人しくしてるナナリーだったが、今は食事前の準備も落ち着いていられないらしく、何処かそわそわした様子で待っていた。


ルルーシュも、配膳を終えたスザクも定位置に腰かけ、食事が始まる。

初恋の相手が作ってくれた食事に、ルルーシュは胸を高鳴らせながら最低限のマナーとして昼食前に手を合わせてから皿のサンドウィッチを手に取った。
一口含んで、薄くスライスされたトマトとマスタード・マヨネーズの酸味が口内に広がり、思わず口角が上がってしまう。

キツネ色に焼き上がったソフトタイプのパン生地が、具材のレタスと同じく軽やかな音をたてた。


「美味しいです、スザクさん!」

「そう?
 気に入ってもらえて嬉しいよ。」

「スザクさん、ナナリーはサンドウィッチが好きなんですよ。」


はしゃぐナナリーの口元にスープを運んでやりながら、ルルーシュも彼女が生んだ流れに乗って会話に混ざる。
美味しそうにスープを飲むナナリーに、軽いウィンクを放った。


「ちょっとした遠足気分になるんだろう?」

「そ、それは、まだ小さかった頃のお話です…っ。
もう、お兄様ったら意地悪ですよ。」


恥ずかしそうに頬を染めながら抗議するナナリーと、そんな愛妹の様子に微笑んで笑うスザクに、ルルーシュは胸中が温かく緩まるのを感じた。


常に競争相手と見て背伸びするシュナイゼルがいない、大嫌いな父親も、ナナリーと2人きりの昼食の静寂も、此処に存在しない。

他愛ない話を目の前の二人がする間で、甘く穏やかな至福の時がいつまでも続けば良いと心の片隅で自嘲していながら、それでもスザクの一番はきっとあの男の隣以外にはありえないのだろうと諦観している。


二律背反の冷めた自分自身に苦笑して、一先ず美味しい食事の後片付けは手伝おうと心に決めてルルーシュは食事を続けた。




とある邸宅の、幸せな昼下がりのランチタイム。












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ランチと言えばサンドウィッチという単純な方程式




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