短編
悪い人
4月という月は世間一般では【出会いの季節】と呼ばれている。
入学式、始業式、就職などなど人生の内最もワクワクドキドキする季節!
…反対に3月は世間一般では【別れの季節】。
卒業式などで、今まで当たり前のように周囲にいた人間がいなくなる季節。
3月には涙が流れ、4月には笑いが零れる。
…ってもんじゃないの!?
そんな中、世間様一般の法則からはみ出している俺。
現在は4月の真っ只中。
俺は世間様一般の法則に習って就職活動をして、昨日は内的先の会社で社員と俺ら新人との親睦会があった。
可愛い女性!綺麗な女性!出会いの季節万歳!4月万歳!!
新しい出会いという言葉に胸を躍らせて意気揚々とのりこんだ先には…
『…みこと…尊!?お前なのか!?』
なんと元彼がおりましたとサ。
しかも、直属の上司っていう実に笑えないオマケ付き。
確かこいつとは5歳差だったはず…
えー…27歳で部長とか…前からハイスペックな奴だとは思っていたが…スゲー。
俺の方は純粋に驚いていたのだが相手は違ったらしい。
俺を見て驚いた後、今度は憤怒の表情をみせ、『こいッ!!』嫌がる俺を会場から引きずり出した。
そして、そのままホテルの部屋へ。
そして、無理矢理…
いや、皆様の御想像通りですよ。
現在はベッドの上であらぬ場所の痛みと格闘中です。
ちなみに、ご丁寧に両手両足の自由奪ったうえに、嫌がって暴れた俺に得体の知れない薬を飲ませて動きを完全に奪ったうえに、慣らしもせずにいきなりぶち込んでくれた相手は現在シャワー中。
こりゃ俺に殺されても文句は言えないね♪
それに、女の子が大好きな俺に彼氏ができてしまったのだって手違いがあったからだし、…そもそも、浮気しやがった糞野郎がわりぃんだし、っと、口調には気をつけないとね。一応、社会人になったんだもん!
って、そんなこと考えてる場合じゃなかった。
そろそろ逃げないとヤツが戻ってくる!!
とはいえ、かなり強力な薬を使われたらしく手を動かすので精一杯だし、両手両足縛られたままだし、自分じゃあどうにもならん。
…ここは、あの人に助けてもらうしかないな。
後々いろいろふっかけられそうだけど、背に腹は代えられない。
さっそくベットから這って降りて携帯のもとへ。
確か1を押せば掛かるはず。
よもやあの人に無理やり登録させられた番号がこんなかたちで役立つ日がこようとは、人生何が起こるかわからない。というのもまんざら間違いでもないらしい。
ワンコールの後相手が出た。
『はい!!みこちゃん!?どーしたの?今日って会社の親睦会でしょ?あ、でもぉ〜みこちゃんから電話なんてミサ嬉しいvV』
普段はそのハイトーンとギャル独特のキャピキャピ感が苦手なんだが、今回はなんだか安心する。
あれ…?おかしいな、…涙が止まらない…
「…ミサさん…たすけ、て…」
なんでもないことのように振舞っていたのが崩れてしまう。
『尊今どこにいるの…?』
独特の雰囲気を取っ払った真面目なトーンで彼女はそう静かにそう言った。
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