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短編
キミが1番!!

ヘタレ美形×鈍感平凡
幼なじみ














キミを遠くから見つめているだけで僕の心臓は信じられないくらい鼓動を早める。


そのしなやかな肢体、サラサラの髪、少しつり上がり気味の大きな瞳。


その瞳が気まぐれに僕に向けられる度に跳ねる鼓動。


キミが近くにいると思うだけで僕は信じられないくらい幸せなんだ。


僕からキミに近付くことはできないけど…


気まぐれに僕に寄り添ってくれるキミを…

もし、キミを僕だけのものにできたなら…




僕は、もう死んでも構わない。


それくらい愛しているんだ。キミだけを…一途に…
























「あーほーかぁー!!」
ゲシッ!!

「ワブッ!!…亮!いてーな。なにすんだよ!?鼻打ったじゃんか!!」



「なにするんだはこっちのセリフだボケッ!!てめぇー人ん家の猫の尻追っかけてんじゃねーぞ!この尻軽!!僕じゃねーよ!!ポエマーか!?」

「何だよ、フットワークが軽いのはいいことじゃねーか。そんなに怒鳴ることねーだろ?」

「馬鹿かテメーは!!家の《キミ》がストレスで禿げたらどーしてくれんだ!?」

「なに?!キミちゃんのキューティクルヘヤーが!?テメー亮!!ちゃんと世話できねーなら俺によこせよ!!」

「馬鹿野郎!テメーのせいだよ!!お前が家に来る度に俺のことそっちのけで俺ん家の猫に付きまとうからだよ!!だいたい、猫アレルギーのくせに何がよこせだよ!!無理に決まってんだろ!!」


………………………。





「愛の力でどうにか」
「無理だろ。しかも、かなり一方的な愛だなオイ」

コイツには《キミ》に嫌われているという自覚がないのか…?



「………ぁー、もー、そんなに妬くなよ亮」

「ヤッ、妬いてねーよ!!だ、誰がやきもちなんか!」

猫相手に妬くわけねーだろ!…ただ、ちょっと、俺のことを見てくれないのが嫌なだけだ!
《キミちゃん!キミちゃん!》ってなんだよ!?今お前といるのは俺だろ!?俺を構えよ!!

…なんて言える筈もなく…


「無理すんなって、わかってるから。何年一緒にいると思ってるんだよ。俺がお前の気持ちに気づかねーわけねーだろ。ただ…、ただな、俺、前までの関係が心地良すぎて…今まで踏み出せなかったんだ…」

「拓真…」
ま、まさか、お前も俺のことを?!

半信半疑の俺の考えは次の拓真の言葉で確信に変わった。

「でも、でも俺気づいたんだ。恐がってちゃ何も始まらないって!」

「拓真!!やっと俺の気持ちが伝わったんだな…?」

感極まった俺の声は喜びのあまり上擦った。


「あぁ、俺もやっと決心がついたよ…」

俺にそういって拓真は目をつむった。

あぁ、神様。夢じゃないんだよな…拓真を好きだと自覚してから苦節15年…何度となく襲いたくなる衝動を理性の力で抑えつけてきたが、やっと、やっと…コイツを俺のモノに!


俺は拓真を抱きしめると、俺と同じくらいの位置にある拓真の唇にそっと自分の唇を重ねようと身体を傾け、目を閉じた。



「拓真…「ゴンッ!!」イテェッ!!!?」

拓真の柔らかい薔薇色の唇に触れる前に俺は何故か頭突きをくらわせられた。

なんだよ!?

痛さのあまりうずくまる。俺は涙目になりながらも下から拓真を見上げた。

すると、視界に入ったのは腕を組んで仁王立ちしている拓真の姿だった。
マジで意味が分からん!何なんだよ一体!?


「亮にキミちゃんは渡さねーからな!!」
「ハァ!?お、お前何言って…どーしてそうなるんだ!!」

「お前と俺は今日からライバルだー!!」


「ハアァァアァァ!?」
「俺は負けねーからな!!」

「オイ!!ちょっと待て!!なぁ!?拓真ァァァー!!!!!!」

バタン。










…………………………。
「ハハッ!

あ゛ー、そうかよ。そーかよ。そういうオチか…」

目の前で閉まったドアの前に立ち尽くした俺は、酷い脱力感におそわれていた。





だが、不意に笑いがこみ上げてきた。

「ハハハハハ…ハハッ…。」



そーだよな。あの鈍感猫好きヤローには直球じゃねーと効かねーよな…。


今日こそ…。今日こそ…アイツを俺のモノにしてやる!!
15年も大切にしてきたんだから…我慢してきたんだから…もう、いいよな…?ナァ、拓真…?


「拓真ぁ、今行くぜ!!」


俺は拓真を追って家を飛び出した。


end(?)












どーしようもない突発的短編。続くかも…
今の所未定です。

実は忍耐美形×猫好き平凡というお話でした。

亮(美形)→→→拓真(平凡)→→→キミ(美猫)

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