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龍治side

「ハァ?何訳わかんねーこと言ってンだ、お前が今言ったヤツっつーのは、コイツのこと…ハッ!!」

しまった!口が滑った!!
俺は思わず言ってしまった言葉の重大さに気付いた。
一瞬、周囲の時が止まったかのような錯覚すら覚える。

ギギギィーと壊れた人形のようにゆっくり回る俺の首。

「ゆ、裕次郎、」

俺は何を畏れている?
裕次郎に罰ゲームだと知られたからって、何故俺が動揺する必要があるんだ?

千尋に怒られるからか?
いや、違う…
なら、何故?

何故俺は目をつむり、裕次郎を見れない?

「ち、違うんだ!」

…何故俺の口は、言い訳しようと必死なんだ?


…いや、考えるな俺!


俺はその疑問を必死に振り払う。

動揺をごまかすかのように俺は裕次郎を馬鹿にしたように見下そうと目を開けた。

騙されたことを嘲笑ってやろうと。



俺を襲う胸の痛みには気付かないふりをして。


































「って、いねぇー!!」

「お前、…馬鹿だったんだな」

「可哀相なものを見るような目で見るンじゃねー!!」

「………」

「憐れむなー!」

ありえないくらい早鐘を打っていた心臓を静に気付かれないように抑える。


まだ心臓がバクバクいっていやがる。

とりあえず、
「…よかった」
ポツリ。

…………。

「ニヤニヤしてンじゃねーよ!」

俺が無意識の内に吐いたため息を聞きつけたのか、静は無言でニヤニヤ笑っている。

胸糞わりぃー!

「悪い悪い」

と言いつつも表情がそれを裏切っている。
やたらニヤつきやがって!

「お前、裕次郎のことが好きなんだな」
ニヤリ

「は、ハアァァア!?」
俺は静の言葉に驚いた。
そりゃもう全力で。

「ハア?って…まさか、お前、気がついてなかったのか?」

俺の思考回路は静の衝撃的な一言で見事に停止した。
…………。

「おーい」

「…」

「おーい!」

「…」

「…りゅーチャン☆」

俺は鋭い眼光で静を睨みつけた。

「それで呼ぶンじゃねー!」

「あー、やっと反応したよ」
ニヤリッと口角を上げる。

「フザケンナ」

「えー、可愛いじゃんかよりゅーチャン☆」

「殺すぞ!!」
こめかみの辺りが自然と動いているのがわかる。


俺の言葉に静は、
キレた。

「あ゛ぁ゛ー、テメェー、自分のお兄様にむかって随分な口きくじゃねーか!」
「都合のいい時だけ兄貴ヅラしてんじゃねーよ!」


「…御兄弟?」



…裕次郎!?

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あきゅろす。
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