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不思議な来訪者
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唐突だが、学生の、しかも一人暮らしの朝は早い。
はっきりいって面倒だ。


そんな俺のブルーな気分を更にブルーにする出来事が最近起こった。


今思えば、全てはこの日から始まったのだ。











起きて支度を終え、玄関を開けた俺の目に飛び込んできたのは、190センチ程は有りそうな大男だった。

しかもその男、何故かうつ伏せに倒れている。

有り得ない程脱色したであろうその髪は、もはや、金髪と言うより、銀髪に近く、両耳には有り得ない程のピアスがある。

見るからに不良だ。









そもそも、…何故、俺の家の玄関に生ゴミが…?

思わぬ事態に思考が停止したが、それも一瞬のこと。

次の瞬間、俺は倒れていた男の襟を掴むと玄関を開け放ち外に放り投げた。

長身の男だったが、俺の方も180センチあり、しかも、ラガーマンだった親父とモデルだった母親のおかげでガタイもいい。

しかも、毎日のように不良に絡まれているせいで自然と腕力もついたので男一人投げるくらい別になんてことない。


バン!!
べしゃ。…しーん……。


向かいの家の壁に男が激突した音が聞こえた。















「…学校行くか」

こうして生ゴミを撤去した俺は鞄を担ぎ、家を出た。



























退屈だった学校も終わり帰路に着いた俺を待ち受けていたのは、今日の朝見たのとは違う金髪の不良だった。

何故か俺の家の前にヤンキー座りをしながら近所の犬相手にメンチを切っていた。


…馬鹿だ。


俺はしょうがなくその馬鹿に近付いた。


馬鹿を排除しねーと家に入れないから仕方なくだ。

馬鹿の視界が俺を捕らえた瞬間、「蛮ー!!」俺の名前を呼びながら拳を握りしめて突っ込んで来た。


ヒュッ!
パシッ。

急に殴りかかってきた馬鹿の普通に重いパンチを俺は軽く受け止めた。


「何なんだ一体」

思わず溜め息が出た。


すると、俺の言葉に反応した馬鹿は急に俺の胸倉を掴んで何やら喚きたてた。


「お前ヒデーよ!!鬼か悪魔か蛮かぁー!?」

何のことやら。

「ほう、それは俺と鬼と悪魔が同列だと。そう言いたいのか…?」

「………あの、いえ、めっそーもございません!!」


分かれば宜しい。
俺は左腕下ろすと拳を開いた。


俺が臨戦態勢を解くと、目の前の馬鹿はホッと息をついた。


安堵してるのがバレバレなのに、こいつはそれを隠すためか悪態をついた。


「ったく、信じられねーよな。あの人も何で寄りによってコイツなんだか…?」

「何だって?」

「いえ、何でもありません!!じゃーまた明日学校でなー」

アイツ、一体何しにきたんだ…?

走り去っていく男の後ろ姿を眺めつつ、俺は呟いた。

「不良の癖に何言ってんだか」

それ以前に俺と馬鹿は違う高校だ。

やっぱり馬鹿だな。




そーいや、叔母ちゃんから連絡がきてたな。

曰わく、『蛮君。武見つけたらどんな手段でもいいから家に連れてきてくれないかしら?お礼は弾むわよ♪』

今更、最近電話があったことを思い出した。


「次は捕獲するか」

そう心に決めて俺は家に入った。



(まったく、世話のかかる従兄弟だ)


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あきゅろす。
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