私立水晶華学園
新たな朝
「よし」
時計を見れば、時刻は今6時。ネクタイを閉めカツラをつければ登校準備完了。
ピーンポーン
ちょうどその時来客を告げるインターホンが部屋に響いた。
「はい!いま出る」
外まで聞こえたかはわからないが一応声を上げる。
シークレットブーツを履いてロックを解除しドアを開ける。
「「おはよう雫」」
「おはよう二人とも」
部屋の前には雷と霄が立っていた。
俺は笑って二人に挨拶を返した。
「じゃあ行くか」
そう言って歩きだそうとしたが、雷に手を掴まれ進めない。
「どうした?」
不思議に思い二人の方を振り返る。途端に両頬から感じる柔らかい感触に目を丸くする。
「忘れてるぜ」
悪戯っ子のように笑う雷と
「…約束」
俺に咎めるような視線を送る霄。
俺はといえば
「雷も霄も本気だったのか…」
冗談だと思っていた…
昔は朝が苦手な二人のために、朝にわりと強い俺が毎日二人を起こしに行っていた。
その際に二人を起こす一番手っ取り早い方法が頬へのキスだったのだ。
その習慣が続いたのは俺が中3になるまでだった。
俺の友人が力さんの家、つまり、俺の家に受験勉強で泊まり込んだ時に俺達の頬へのキスをたまたま見てしまい、その友人から兄弟でやるものじゃない!っとかなり怒られたのをきっかけにその習慣は無くなった。
どこの兄弟も普通にしているのだと思っていた俺は1週間二人と口をきかなかったものだ。
今回の入寮に際して、今までのように俺が起こすというわけにもいかないからと、自分で起きるように二人に目覚まし時計を贈ったのだが、その時に自分達でちゃんと起きるから代わりにキスをとせがまれたのだった。
[after!!]
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