私立水晶華学園
異名持ち
「誰からって…」
俺は思わず首を捻った。
誰が教えてくれたんだっけか…?
うーん、雷や霄じゃないし、力さん…も違うか。何しろ昔のことで…。
俺が答えられないでいると、ぷっと言う噴き出した音が聞こえた。声の方を見てみると、卯埀先輩が肩を震わせて笑っていた。
訝しげな俺の視線を受けて先輩は笑うのを止めて、右手を差し出してきた。
「とりあえず、友達から始めよう」
そう言ってニヒルに笑った先輩はやはり可愛いが、どこか格好良かった。
「では、寮の説明といこうか」
俺達は卯埀先輩から説明を聞くために、あらためて寮管理室のソファーに座り直した。
「この寮は知っての通り全寮制だ。
門限は十一時。外出の際には外出届け、外泊の際には外泊届けを出すことが義務付けられている。
まぁ、この近くの町といったら、バスで行っても片道四時間は掛かるから、外出するやつはほとんどいない。
学園の敷地内にもたくさん店があるからな。
寮は、一般的には各部屋二人で一部屋になっている。
しかし、これには例外が存在する…
異名持ちって知っているか?」
「異名持ち?」
聞いたことない言葉に俺は首を捻った。
「異名持ちっていうのは、簡単にいうと、この学園寮で容姿端麗な者に付けられるあだ名みたいなものだ。
この学園には女が存在しないからな…容姿端麗なやつらは同性から狙われる。
それを防ぐために異名持ちは一人部屋、もしくは本人達が望めば、異名持ち同士で二人も部屋も可能だ。」
[before??][after!!]
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