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私立水晶華学園



「先輩熱があるんじゃないですか?」


俺は近づいて来た先輩の顔を間近で見てそう思った。


「さっきから思ってたんですが、顔赤いですよ」


心配になった俺は、そう言って先輩の額にそっと手をあてた。


すると先輩は俺の上で更に顔を赤くして硬直した。


(うーん、熱はなさそうだ。…でも耳まで真っ赤だし、一応保健室に行った方が良いだろうな)


俺は更に、先輩の額から手を退けて、コツっと自分の額と先輩のを合わせた。


そんな事を考えていると、今まで俺の上で固まっていた先輩が、大きく目を見開いて俺の上から飛びのいた。


俺がソファーから身を起こすと、先に立ち上がっていた先輩が下を向いて、何やらぶつぶつと呟いていた。

(……これは…もしや恋か!?俺の方を赤くするなんて、今までの奴らじゃありえないことだしなぁ……)



雷と霄が起き上がった俺の耳を即座に塞いだので、俺には卯埀先輩の口の動きしかわからなかった。


かろうじて読み取れたのは、男、跡取り、愛、という単語だけだった。


…そう言えば、と、俺はさっき卯埀先輩が言っていた「俺の子を生んでくれ!」発言について考えた。
先輩は冗談がうまいな。





「卯埀先輩、子供が欲しいなら彼女さんと一緒に神社に行ってください」




…。な、なんだこの空気は。

寮長室に静寂が訪れた。
卯埀先輩は目を皿の様にしており、その顔からは赤味が引いていて、心なしか、若干引き攣っている様に見える。


ポンッ。
肩に軽い衝撃を感じて振り返る。


後ろには頬の筋肉をひくつかせて、俺の肩に手を置いている雷と霄がいた。


雷は少しの躊躇いの後、思い切って口を開いた。


「し、雫、それは、誰から、き、聞いたんだ!?」



[before??][after!!]

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