私立水晶華学園
寮長
「はぁ!?」
呆気にとられていた俺達の中で、いち早く正気に戻ったのは雷だった。
雷は少年に食ってかかる。
「何言ってんだこの女男!」
雷の怒りに満ちた凶悪な表情を見て、少年は怯え……なかった。
雷のこめかみに浮かんだ青筋をみると、たいていの人は怯えて泣いて逃げ出すか、怖くて固まるかするのだが、この少年はそのどちらでもなかった。
「誰が女男だ。俺程男らしい男もそういないぞ」
少年は雷を正面から睨み据えて、腕組みながら不遜とも言える態度で雷に言った。
美少女顔がニヒルな笑みを浮かべると、確かに男らしく見える。表情が変わるだけで、ここまで顔が変わる人間も珍しい。
うん。確かに男らしいな。
俺は改めて雷と話しをしている少年を注視した。
少年はどこか大人びている。その様子から俺はある推測を立てた。
「先輩ですか?」
俺は再び雷を押しのけて先輩?に聞いてみた。
すると、先輩?は、目に光りを湛えて俺の方を見た。
と、次の瞬間…俺は俺の後ろにあったソファーに先輩?ごとダイブ。
始めに思ったのは、予想していたよりも柔らかいソファーの感触。
家にある力さんのコレクション程ではないが、小学校の校長室並の感触だった為、背中に痛みはなかった。
気付いた時には目の前に先輩?の顔のアップがあった。
「俺は寮長の3−A 卯埀 壱だ」
ニヤリッとニヒルな笑みを浮かべている先輩は男の顔をしている。
「卯埀先輩」
俺は先輩の名前を忘れないためにも小さく呟いてみる。
すると、笑みを深くした卯埀先輩の顔が段々近づいて来た。
[before??][after!!]
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