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私立水晶華学園
そして今


俺が見たのは…正に、神掛かり的な容貌だった。


自分の容姿が半端なく良い事は知っているし、両端に居た男達も俺に負けずとも劣らない顔をしている。


しかし、真ん中の男は別格だった。

全てが巧妙に造られ、完璧な配置である造形。俺達が整っているとするなら、目の前の男は完璧と現すのに相応しい顔をしている。


系統で言うなら、完璧タチ顔だが、色気が出ている分ネコからは勿論、一部の男前が好きなタチからも狙われそうな顔だ。


「すまない。騒いでしまって…しかし、この中庭は貴方一人の物ではないと思うが」


俺はその言葉を聞き、思わず、男の顔に向かって手を振り上げていた。


(顔が良い奴なら、自分の顔を大層大事にしているからな)そう、ほくそ笑んで。

俺に刃向かう者には制裁を…














………………………………俺の振り上げた手は届かなかった。両端の二人が俺の拳を止めたからである。


互いを庇い合う三人の姿はいつも、どんな時も一人だった俺を苛立たせた。


今考えると、俺は羨ましかったのだろう。互いを大事にするコイツらが…


俺は酷い言葉を雫に投げ掛けた。しかし、雫は自分がけなされた事など、意にも介さず、自分を守ろうとした二人に鉄拳をくらわせた。

…雫は、自分のために傷ついて欲しく無いのだ。と言った。泣きそうな顔をして。

人とは、自分自身の為ならどんなに仲が良い奴でも、たとえ、肉親でも平気で裏切り、傷つける事が出来る。俺の周りの奴らは皆そうだった。


だから、雫の行動が理解出来なかった。
しかし、俺はそれと同時に思った。雫なら、俺を裏切らないのではないかと、俺の本当の友達になってくれるのではないか、と。

[before??][after!!]

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あきゅろす。
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