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私立水晶華学園



後で分かったのだが、父親の家は《焔火》と呼ばれる資産家の旧家だった。


その家の大きさに圧倒されつつも、今日から出来る新しい『家族』と言う名の絆に浮かれ、心持ち速足で家の敷居をくぐった。
期待に胸を膨らませて。











…しかし、そこで待っていたのは、俺の期待とは程遠い生活だった。


今思えば、浅はかだったとしか言いようがない。
俺は子供だった…
世間知らずの子供だったんだ。


俺が愛人の子供だと分かったのは、義母に会ってからだった。


俺が突然現れたために、義母は壊れた。


ヒステリックに叫び出し、俺と俺の母を罵る。部屋にあった物を手当たり次第投げ付けられた。


元は美しい容姿の義母の狂った様な取り乱し様に慌てた父は、義母を抱きしめ、俺に隣の部屋に行くように言った。


父親の言葉通り隣の部屋に行った俺だったが、義母が気になり、ドアをわずかに開けて聞き耳を立てつつ、部屋の中を覗き込んだ。


父は少し落ち着いた様子の義母の耳元で何かを囁いていた。


俺はその聞き取りにくい囁きを拾うように更に耳を澄ませた。


(………我慢してくれ!君は子供を産めない身体なんだ!『アレ』はあの馬鹿な女に保険として産ませたモノだ。愛しているのはお前だけだよ…………)


パタン………















………嘘、だったのか?…母への想いも、あの嬉しそうな表情も?…全て?偽り??


正に茫然自失だった。

















それ以来俺は、父親や義母を憎むようになった。


俺は、表面上は焔火の後継者としてそつなく生活した。
猛勉強をし、様々な学問を修めた。あの男(父親)が1と言うなら100まで覚えた。俺はいつだってあの男の期待以上の結果を残した。


男はいつだって、俺の結果に満足して喜んだ。
俺を褒めた時の男の表情を見た時のあの女(義母)の綺麗な顔が嫉妬に醜く歪むのは、とても愉快だったのだ。

[before??][after!!]

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