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私立水晶華学園


「し、雫、悪い!」
「…ごめんなさい!」

俺の悲痛な声を聞いて、二人は俺に謝ってきた。一斉にガバッと頭を下げたと思ったら、すぐに顔を上げてその後を続ける。

『でも、俺も雫が大切なんだ。雫が傷つくのは嫌だ』

二人の必死な顔を見てこれ以上怒れるだろうか、答えは否。謝るのはおかしい。だから俺が言えるのはこれだけ。

「ありがとう。二人とも」
『おう!(…うん!)』

俺が笑って言ったら二人とも同時に笑い返してくれた。やっぱり、二人が大好きだと改めて実感した。
(家族っていいよな)

そんなことを考えていた俺だったがさっきのオレンジ髪男はどうしただろうとふと、思い出した。

俺は二人の間から男がいると思われる方を覗いた。

そこにいたのは、さっきの険しい表情から打って変わって困惑した表情の男だった。そして、その男はまた口を開いた。

「お前、名前は?」

は?
男の脈絡のない言葉に俺の頭にはクエスチョンマークが浮かんだが、これは無理ないと思う。

さっきまで馬鹿にしたり、殴ろうとした人間になぜ名前を聞くのだろうか?

雷や霄に言ったのではないことは、その男の真っすぐに俺を見る視線から分かる。男の目にはさっきまでの侮蔑の色が消え、代わりに子供っぽい好奇心が見えている。

「人に名前を聞く時はまず、自分から名乗るものだろう」
これは常識だろう。


「…燈眞だ、焔火燈眞。」


相手はもう殴りかかってくる様子も怒る様子も無く素直に答えてきた。

「俺は神咲雫だ。2−Sに編入してきたんだ」

その答えに満足した俺は、少し微笑みつつ自己紹介を返した。
そして、よろしくといって右手を焔火に差し出した。

[before??][after!!]

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