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私立水晶華学園


俺達が寮長室に入ると達哉がソファーから床に崩れ落ちていて、その隣で滉暉が泣きそうに成りながら達哉の名前を呼び、一心不乱に身体を揺さ振っている姿を見つけた。俺達は急いで達哉を保健室に運び込んだ。



二人が壱先輩の走り書きを見ていた時、ちょうど達哉の携帯のバイブが一度だけ響いた。

慌ててディスプレイを確認すると、そこには俺の名前が表示されていた。

達哉はすぐさまリダイヤルでかけ直したが、通じない。

俺のことを心配してすぐに澪の部屋に来ようとしてくれたらしいが、達哉は背中や腰の痛みで倒れ込んでしまったらしい。


その後すぐさま達哉を保健室に促した滉暉だったが、達哉は頑として受け入れず、妥協して寮長室で俺を待つということになったようだ。


話しを滉暉がしている間に達哉が滉暉を見て「こいつ俺が保健室に行ったら一人で雫の所に行こうとしてたんだぜ?」っと怨みがましく言った。

「だって達哉ダセーんだもん!」

笑いながら軽口をたたき合う。

そんな二人のやり取りに不謹慎ながら自然と笑みが零れた。


俺は達哉を抱いて運ぼうとしたが、シークレットブーツを履いている俺ではバランスをとるのが難しいため、燈眞に頼むしかなかった。


体格差から当然壱先輩と滉暉には頼めないし、澪はほぼ人間不信の状態らしく、俺以外に触れるのを拒んだため無理だった。


燈眞は初め渋っていたが、皆で頼み込むと快く受け入れ、背負ってくれた。


俺が俺の気が済むように達哉を運んで、落としてしまったらそれこそ一大事だ。


そんな自分が情けなくなってくる。


しかも、澪が達哉に怪我を負わせていたなんて…


「ごめんな達哉…」

俺はベッドに寝ている達哉の真横に立って頭を下げた。


「雫、俺は大丈夫だから、頭を上げてくれ」


俺の頭に手をぽんぽんと乗せて頭を上げるように促す達哉。


保健室にはさっきまで保健医の俊先生という先生がいたが、達哉の痣になった背中を見ると、

「湿布と痛み止めを2週間分出して置きます。湿布は一日二回必ず交換すること。いいですね?」

っと言うと、元々今日は出張の予定だったらしく、俺達に達哉を任せると言い残して出かけてしまった。

[before??][after!!]

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