私立水晶華学園
起床
俺が意識を取り戻し、一番に目にしたのは殺風景な部屋のベッドの上だった。
辺りを見渡してもこのダブルベッドの他には家具一つないどころか、人の気配すら感じない。
一つだけ確実なのは此処が寮の一室ということだけだ。
俺の寮部屋と造りがほぼ一緒じゃなかったら、多分俺は場所すら把握できなかったのではないかと思う。
俺を連れて来た澪のことを考えると、此処は澪の部屋と考えるのが妥当だろう。
俺は澪との約束を破ってしまった。ずっと一緒にいると誓ったのに…
澪に何をされても俺は自業自得だと思う。俺の都合はあくまで俺自身の都合でしかないからだ。
俺は澪を探すために起き上がった。
さっきから僅かに自分の足に違和感を感じていたが、その足に何気なく視線を移すと違和感の正体がわかった。
「枷?」
俺の両足は足枷で戒められていた。幸い手は繋がれていないが、足の足枷はベッドの足元の支柱から伸びている。
鎖の長さはかなり長いが、ざっと見積もっても外に出られるような長さはない。
俺は再び自分の足元に視線を落とした。
足枷を見て思わずため息がでる。
「これじゃあ澪を探しに行けないじゃないか…」
俺はガックリと肩を落とした。
鎖は引っ張ってみてもびくともしない。他にもいろいろ試してみたものの、全て効果がなかった。
澪を探しに行くのを諦めて俺は澪を待つことにした。
ベッドの上で寝返りをうつ。
「やばい、晃暉と達哉…」
仰向けになり天井を眺めていたら、とても重大なことを思い出した。
俺は二人と一緒に食堂に行って、そこで首を絞められて、気を失って、…拉致された?
二人のことを思い出しサアッと勢いよく血の気が引いていくのがわかった。
よくよく考えてみると澪と俺の状況をよく知らない二人からしてみれば、澪の行動は、奇行としか映らないだろう。
俺は急いでポケットから携帯を取り出した。
そして交換したばかりの達哉の携帯に電話をかけた。
[before??][after!!]
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