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私立水晶華学園


晃暉side

「キャー!!」

いつもの顔がイイヤツを見て騒ぐものでない本当の意味での悲鳴が辺りに響いた。

それを皮切りに食堂内は騒然とする。

「雫!!」

椅子から床へと崩れ落ちた雫の元に駆け寄る。

酸欠で完全に意識を失ったのかオレの呼びかけに返事はない。


「テメェー!」


オレは神娜を睨みつけた。しかしヤツの瞳にはなんの感情も浮かんでいない。


ただ、雫を見下ろしているだけだ。


その様子がカンに障り思わず神娜に殴りかかる。

「晃暉!」


が、達哉の焦り混じりの声とともに達哉に腕を取られた。


「今は雫が最優先だ!保健医のところに運ぶぞ!」

達哉は声を荒げ、それによってオレは我に帰った。

「そ、そうだな!」


身長的にオレは雫を背負えない。だからオレは雫の横から立ち上がり、達哉に場所を譲った。

達哉が雫に手を伸ばす。

バシッ!!

「なっ!?何すッ…グッ!」

達哉の手を思いきり叩き落としたのは神娜だった。
そのまま達哉の胸倉を掴み上げる。

「…」

何一つ言葉を発しないが、眼光鋭く達哉を睨み付ける。

更に、瞳にははっきり憎悪が浮かんでいる。

オレはこの時生まれて初めて本当の恐怖を知った。


声すら出ないなんて…

オレですらこんな状態だ。正面から対峙している達哉は俺の比じゃないはず。

「グウッ!」

達哉!!


達哉の躯が完全に浮き上がる。そして神娜は片手でいとも簡単に達哉を投げ飛ばした。

ガシャン!!

達哉は隣のテーブルの皿を倒し、更に机を薙ぎ倒し倒れた。


「達哉ぁー!」

オレは達哉の元に駆け寄った。

「達哉ー!死ぬな!」

「…勝手に、殺すなよ…」
倒れた達哉に抱き着くと手を軽く叩かれる。
弱々しいながらも返事をくれたことにホッと息を吐いた。


「よかった」

「晃暉、俺より、雫…ッ!!」

「達哉ッ!その体じゃ無理だ!」


雫を助けようと達哉は立ち上がろうとするが、痛みに顔をしかめる。

[before??][after!!]

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あきゅろす。
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