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私立水晶華学園
再会

呼ばれるのを待つ間思い浮かぶのは幼い澪の顔。大輪の薔薇のような華やかな容貌なのに、はにかんだ笑い方は優しく月の光のようだった澪。


昔は語彙が少なすぎて上手く言い表せなかったが、今思えばそんな感じだったな。

俺は子供心に澪より可愛いくて綺麗な子は世界中探してもいないんじゃないかと本気で思ったものだ。

離れてしまった時の泣き顔は小さい子供だったとは言え、鮮明に覚えている。

新しいクラスに対する不安はないが、澪の俺への反応は気になる。

どんな理由であれ、約束を違えてしまった俺を澪はどう思うだろうか。


ふっと視線を感じて目を窓の外に向ける。

木陰に人がいた。
かなり距離があるために目を凝らしてみる。

白髪の鋭い瞳と目があった気がした。

実際は相当距離があり、相手が俺を見ていたのかも定かではないのに、なぜか相手が見ているのは俺だという確証がもてた。


「入って来い!」

先生の声で俺は我に返った。
反射的に教室の方を見た俺だったが、窓の外が気になり首を回してもう一度目を向けた。

(いない)

男は消えていた。


「雫!!」

なかなか入って来ない俺に痺れを切らしたのか、竹内先生が俺の名前を呼ぶ声が聞こえた。

俺は覚悟を決めて教室のドアに手をかける。


足を踏み入れた瞬間わずかにざわめくクラスメイト達。

そして俺は黒板の前に立った。
先生に促されて俺は自己紹介を始めた。

「俺は神咲雫です。来たばかりなのでわからないことばかりですが、よろしく」
そう言って軽く頭をさげる。

「お前等からの質問は後だ、雫の席は俺の前っと言いたいところだが、あそこの空いてる席だ。ってお前聞いてないな」

頭を上げた俺は教室をぐるりと一周くまなく見渡す。やはりSクラスは美形ばかりだ。雷や霄や燈眞レベルの美形はそう居ないが、あいつらが企画外だからな。

[before??][after!!]

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あきゅろす。
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