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平らな胸※


こいつは実をつけない花だ。









―平らな胸―










俺は世間一般的に言う同性愛者である。



きっとまわりからすればそうなんだ。




フランも俺も男だから。




フランが女ならよかった、と言ってしまったこともあった。




でも他ではピンとこないのは何故?




男とか女とかじゃないと感じるのは何故?







これを愛と確信したのは何故?









「ぁ、ダメ、あ、ア」




途切れ途切れに息のような声が聞こえて意識の中から這い上がる。



目の前で揺れる白い肌に興奮する自分にも何故?と問いたくなる。




フランはギュ、と目を瞑って固く耳を塞いで怯えるように喘ぐ。




「何がこわいの?」と問いながら自分にも問いかけて。





少し早く動けば呆気なくイってしまい、切ない声が聞こえた。




それと同時に白い欲が上り詰めてくる。



吐き出すだけでは物足りなくて「中に出していい?」なんて言っておいて返事が返ってくる前に吐き出してしまった。





「は・・・っ、せ、ぱ・・・」






自分を支えていた腕の力を抜いてフランの上に倒れ込んだ。







ごめん、女だったらよかったとか言って。



女じゃなくて、男じゃなくて、フランならいいんだ。



硬い体も、平らな胸も、孕まないお腹も、全部。



薄っぺらい声とか、でもお前ならいいんだ。



たぶん認めるのがこわかった。



何がかはわからない訳だけれども。






並べ立てるように言った。


乱れていた息ではとても苦しかったけれど。





細い腕が俺の首に巻きついた。


ぎゅう、と抱きしめて頭を撫でられた。







「センパイ、泣かないでください」






と。




そんなことを言った本人が泣くなよ。




熱かった体が冷める間もなく溶け合いそうなほど近くで発光するんじゃないかと思うくらい熱を放ちながら





泣けたのは、心地よかった。


       (end)








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