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磁力


ずっといっしょにいられたら、と言ったのは自分だけど。







―磁力―








朝起きたら右手に違和感。



昨日の夜はセンパイに手を握られたまま寝てしまったので当然か、とも思ったがやはり変だ。






「・・・くっついてる・・・」






センパイの左手からミーの右手が離れない。



別に握られてる訳でもなく握っている訳でもなく。




ただ、くっついて離れないのだ。







「どうしよう・・・」




「んー・・・・・、何が?」



「あ、起きた」




やっと起きたセンパイに、手がくっついて離れないんですーと言うと



「・・・マジ?」




なんて冷や汗ダラダラ本気の苦笑って感じの顔に、間抜けな一言が返ってきた。




「マジですよー」





てか今日は幹部全員に招集がかかってるのにこんな状態で会議に出席なんて、最悪だろ。


あのオカマ及びオヤジ共に何て言われるか、冗談じゃない。





「なんでこれ取れねーんだよ」



「知りませんよー、引っ張っても何しても駄目みたいですー」




ためしに手を水に浸けてみたり、お湯に浸けてみたり。



でもやっぱり取れない。




それはそれは指も手の平もガッチリ、ピッタリくっついている。






「・・・召集時刻どんどん近付いてんだけど」



「手繋いだままどうやって隊服に着替えるんですかー」





・・・たしかに。と黙り込むセンパイ。


んー、としばらく考え込んだあと






「しゃーないから今日はバックれるしかなくね?」




ししし、と笑ってばふん、とベッドに倒れ込んだ。



ミーと手が繋がってるから当然道連れになる。






「っいったぁー・・・、突然倒れないでくださいよー」




「ししっ。今お前超間抜け面だぜ?」



「ぅ、うっさいですねー・・・」






センパイ、顔近いんですけどー。



なんかとにかく超近いんですけどー。





倒れ込んだ衝撃でセンパイの顔が鼻と鼻があたるかあたらないかくらい近い。



なんだか・・・恥ずかしくなるじゃないか。







「顔赤ーい。照れてんの?かんわいー」



「赤くないし照れてませーん。あんたの目は節穴ですかー」




目が合っていると余計に駄目で、目をそらす。



そしたらこっち向け、と言って顎を掴まれる。




うわ、これ悪循環じゃん。





「・・・あんまりジロジロ見ないでくださーい。センパイほど綺麗な顔してないんで・・・」




「綺麗だろ十分。ま、王子には敵わないけど」



「自分で言うとか・・・さすがキモ王子ですねー」



「コロコロ言うこと変わってんじゃねーよクソガエル!」




口ではそんなことを言いつつ抱きついてくるから何か可愛い。



「(センパーイ、ミー今幸せですー)」








翌日、2人の手は離れていてボスとスクアーロにしこたま怒られたとか。


          (end)







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あきゅろす。
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