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ハーフ



あんたのことすきですきで、 だいきらい。







―ハーフ―








マーモンの穴埋めにあてがわれたのは生意気なガキ。


やる気の無さそうな目と間延びした敬語がうざったい。





「センパーイ、このカエル邪魔なんで取っちゃっていいですかー?」



「ダメ。それ取ったらお前即殺すから」





ムカツクからカエルの被り物なんか被せてみたりして。


で、そのついでにナイフも投げつけてみたりして。





ハッキリ言って最低だと思う。





「この被り物って前任の代わりってことですよねー」




こいつの不満も仕方無いな、と思うほど俺の態度は最低だった。





「代わりじゃねーよ。お前に代わりとか勤まんねーし」



「そーですかー・・・」








フランはたぶん俺のことが好きなんだ。



それを知っててこんなこと言って傷つけては紛らわせて満足する。



俺もたぶんフランのこと好きなんだ。



でもどうしても好きだと認識してしまうのが怖くて。


認めたらあいつのこと忘れる気がして。






「お前より生意気で可愛げ無くて口が悪くて最悪だった」




いつかコーハイにマーモンのことを聞かれたときにこう答えたら




「それってミーは前任の人よりつまらないってことですよねー」




なんて言われた。ごめん、そうじゃないんだ、とも言えなかった。




本当に、そうじゃないんだ。






気紛れに抱いてみたりキスをしてみたりもした。



拒絶の言葉こそは出たが、その行為を本気で拒絶されることはなく。






そしてたまに俺はお前にすきだと言う。




すきだ、あいしてる。



誰よりもすきなんだ、とありったけの感情を。





そして翌朝には「すきすぎてだきらいだ」なんて。




フランはただ、そうですかとだけ言った。






白い頬が、少しだけしょっぱい。




       (end)











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あきゅろす。
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