なんてったってアイドル!?
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「…………。」
「…………。」
しばらく呆然としていた二人。
ややあって被害者がはっと我にかえり、アリスを睨み付けた。
「キミっ!!一体どうしてくれるんだ!あれはっ…あの書類はっ…」
「すっすみません!ごめんなさい!」
あまりの慌てように反射的に頭を下げて謝る。
「あの書類は、今度の新人オーディションのための大事な書類だったんだぞ!あれがなきゃ…うちの事務所はおしまいだ…」
がっくりとうなだれる被害者を頭を下げたまま、恐る恐る見上げる。
なんか、やばいかも…
かなり本気で言ってるよ〜…
「…そんなに、大事な書類だったんですか?」
おずおずとアリスは尋ねた。
「当たり前だ!大事じゃない書類なんてあるわけないだろう!」
ピシャリと怒鳴られ、思わずすくんでしまった。
(やばい…。大変なことをしでかしてしまった…。)
(…ていうか、遅刻…。)
しゅんと頭をたれて、ひたすら謝るアリスと途方にくれる被害者。
十数回謝ってから、アリスはそっと顔を上げた。
そこで初めて被害者を見た。
「…かっこいい…。」
「は?」
「あ、いえ!ごめんなさい!」
疲れたようにため息をつくその被害者は、かなりの美形だった。
歳は二十歳前半ぐらいだろう。
あまりの美形に思わず声が出てしまった。
怪訝そうにその青年がこちらに視線をやった。
すると、青年はピシリと音をたてて固まった。
(え…?何!?なんか顔についてた!?っていうか見すぎだってば!!)
訳が分からずに、とりあえず笑みをつくって、笑ってみせた。
酷い苦笑いだったと思う。
しかしその瞬間、青年はゆるゆると表情を緩めた。
「この責任はとってくれるんだよね!!ね!?」
「え?いや…あの…」
「大丈夫!キミのその容姿ならバッチリ!というか、そこらへんのやつよりいけるって!」
なにが!?なにがなんだ!
「いや、よくわからな…」
「体で責任はとってもらうから!」
えぇーっ!いやいや、ちょっと待て!!
っていうか待ってください!
あたし何されんの?
ねぇ、ナニされんの!?
「ちゃんと説明してーーっ!!」
あたしの願いも虚しく、青年はあたしの腕をしっかりと握ったまま急ぎ足でその場から移動しはじめた。
(あぁ、遅刻…。)
まさか、こんなことで自分の人生が大きく変わるなんて、アリスは思いもしなかった。
行動に移す前にしっかり説明しようね
(あ、そう言えば聞くの忘れてたんだけど、キミの名前は?モデルとかなんかしてる?)
(小野アリスです…。あたしはただの女子高生です!)
(そっ♪ならよかった!)
(だから何ーっ!?)
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