照星守護ものがたり 新しい家族 後日、吉祥家に輝を守れという命が下った。 その文書は将軍が私事に出す文の体裁を取っており、拝命は秘密理に行われたのである。 これは占明の指示らしい。 「ふーん、つまり満之は父上や僕に黙ってこの命令を承ったんだね?どういうつもり?」 兄上、目が笑ってません。 と口を挟むこともできないほどの殺気を放ちながら紀之は言った。 「紀之、満之をそんなに責めるな」 父上がたしなめると、紀之は殺気を放つのを止めた。 ほっ、と満之は息をつく。 「あそこで断ったら、吉祥の男の名折れ。道場で根性を叩き直すところだ」 父も恐ろしいことを言う。 「そうですよ、お陰で輝ちゃんもうちに住むことになったもの。満之には感謝しなきゃね」 膝に抱いた輝に頬擦りしながら沙菜子が言う。 ぎゅっと抱かれて居心地が悪そうだ。 「僕も嬉しいです、妹ができたみたいで」 真之も嬉しそうに笑う。 「まぁ、母上や真之がそういうのなら、満之の勝手な判断も吉なのかな?」 紀之が浮かべたのは苦笑混じりの笑みだった。 沙菜子の手を逃れて、輝が満之の方に寄ってくる。 その頭を掻き回すように撫でる。 こうして、吉祥家は六人家族となったのだった。 [*前へ] [戻る] |