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照星守護ものがたり
《二》

「占明(せんみょう)様……!」

奉行は声を上げ、平伏した。
満之もそれに倣う。
それと共に輝の頭を下げさせるべきだったが、それはしたくなかった。

満之は占明と呼ばれた人物を盗み見た。


男か女か、一瞬区別が付かない。
中性的な、整った顔立ちは、どこか作り物めいていて、近寄りがたい印象を受けた。
異人のような空色の双眸が、満之の視線とかち合った。

「怖いもの知らずな若侍ですね」

さらりと、風のような声で占明は言った。
覗き見ていたことがばれていたらしい。

「お奉行様、若侍殿、顔をお上げください。私に平伏する理由など、ないはずです」

確かに、占明の言う通りだ。

“占明”とは、この世の数年先を視ることができる能力を持った者の呼称だ。
それを権力を得ることに利用すれば、武士も貴族も敵わないほどに高い地位につけるだろう。

だが、それは国の混乱、破滅を呼び込みかねない。
だから占明たちは政治には干渉せず、与える予言は災害や病の流行などに限られる。

一切の権力を持たないのだ。

だが、やはり人は得体の知れない力に畏怖と敬意を感じる生き物で、占明と聞くと、皆かしこまる傾向がある。

「それに、平伏されるのは、好きではありませんし」

苦笑を顔に走らせて占明は付け足した。

満之は占明がそう言うので、すぐにでも顔をあげたかったが、奉行が平伏したままなので、あげるにあげられない。

くすくすと占明が笑った。

「ほらお奉行様、あなた様が顔をおあげにならないと、若侍どのはずっと平伏したままになってしまいますよ」

占明の言葉に、敵わないな、と満之は舌を巻いた。

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あきゅろす。
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