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リリカル無自覚
突入編2
御丁寧なことに目当ての
代物を持ち込み直接乗り
込んで来てくれた上に
私が最も戦い易い場所で
戦おうとしてくれるとは
好都合極まりないので
笑わずにはいられまい。
しかも、サーチャーに
気づいた素振りさえない
様子からして魔力量が
無駄に大きいだけの才能
任せの魔導師達だろう。
つまり、力量はあっても
技量の欠片もないのだ。
子供らしい安い正義感に
突き動かされるまま戦い
ゴミどもに勝って調子に
乗ったのか。
「それで私にも勝てると
思い込んでいるのなら
大間違いよ」
プレシアはサーチャーと
映像を消して侵入者達を
迎撃すべく待ち構えた。
部屋中に敷き詰めてある
補助魔法陣のアシストの
効果でも術師の心身へと
掛かる負担を完全な零に
出来る訳ではない。
あくまでも心身へ掛かる
負担自体を最小限にまで
抑えるのが限界なのだ。
聞きたいことなら全て
聞けたのだから無理して
戦闘を始める前から
身体に負担を掛ける必要
なんかどこにもない。
あの戦闘の様子からして
傀儡兵達では相手にすら
ならないので無限生産の
要である二体だけは
戦闘に参加させないよう
指示を出しておいた。
他の傀儡兵達なら何体
壊されても構わないので
残りは迎撃続行させる。
ジュエルシードを手に
入れようと企むのだから
管理局側との衝突は
必至なので対管理局用の
策として用意したのが
無限生産傀儡兵である。
当初の計画でのベストは
次元跳躍魔法で運搬船の
事故に見せかけ流失と
処理させ管理局側の
対応を極力遅らせ彼等が
介入するまでの間に
必要な規定数分だけでも
ジュエルシードを
フェイト達に集めさせ
手に入れることだ。
成功確率自体は決して
低くなく、むしろ極めて
高かった計画である。
運搬船を撃墜した後に
管理局のネットワークを
ハッキングし事故と
処理したのも確認済み。
この時点でプレシアは
計画の成功を確信。
盗難ではなく流失だから
管理局側が配する戦力は
次元航行艦一隻となる。
艦の戦力は主に武装隊と
呼ばれる腕利き魔導師が
百名以上と知識と腕前を
問われる難超関試験を
突破した一握りの者しか
なれない執務官一名。
執務官は一人で武装隊
数百名を凌駕するとまで
言われる実力者。
それでも、プレシアには
体調の問題さえなければ
苦戦する相手でもない。
彼女は確かに管理内世界
トップクラスに至った
実力者の一人だからこそ
大魔導師と謳われた。
武装隊も執務官も何一つ
障害にはならない。
体調の問題も管理局側が
相手なら半ば自動的に
問題はクリアとなる。
理由は管理局が正義を
掲げる集団だからこそ
犯人確保に拘り庭園へと
乗り込んで来るからだ。
万全に対策を施してある
時の庭園は門がある
上層部に限り転移魔法で
入って来れる。
最もご丁寧に門自体を
開いた上で通らなくても
上層部からなら入るのは
破壊でも抜け道でも可。
文字通りプレシアの
庭だから乗り込んで来た
時点で完全に彼女の
独壇場となる。
無限生産される傀儡兵は
庭園上層部と中層部で
武装隊を足止めする為に
用意した対策で執務官は
最下層でプレシア直々に
相手して悲殺傷設定で
瞬殺し拿捕する。
実際にジュエルシードを
集めるのはフェイト達で
プレシアが時の庭園から
出る必要ないからこそ
出来る計画である。
例え管理局介入までに
ジュエルシードを規定数
集められなくても
管理局側が集めてくれた
ジュエルシードを
乗り込んで来た執務官を
瞬殺で拿捕し人質に使い
横取りする計画だった。
プレシアの強さと知略が
あればこその計画だが
成功確率自体は高い。
最も管理局側も馬鹿では
ないので武装隊どころか
執務官すら物ともしない
犯罪者が相手となると
増援を呼ばれる。
そうなればプレシアとて
数に押されるか管理局の
次元航行艦に艦載された
空間歪曲魔力砲の
アルカンシェルにより
時の庭園ごと物理的に
消し飛ばされてしまって
一巻の終わりだ。
それもプレシアが増援の
到着を待ってやればこそ
成立する敗北だが勿論
待ってあげるわけもなく
増援が到着する頃には
既に時の庭園ごと
ジュエルシードの魔力を
使っての巨大質量転移で
アルハザードへ向かう
手筈であった。
勿論フェイトとアルフは
使い捨ての駒として
置き去りだ、あの二人は
間違いなく管理局側に
捕らわれるのが大前提の
計画なのである。
二人の腕では執務官には
対抗出来ないので敗北も
含めて織り込み済み。
管理局側の介入までに
ジュエルシードを規定数
集めようが集めまいが
二人を使い捨てることを
念頭に置いていた。
玲となのはがいなければ
万事上手く事が運んだ
可能性も高かった。
だが、既に二人は彼女の
計画を悉く覆す予想外の
イレギュラーとして暴れ
続けている。
現にプレシアは玲の策に
嵌まっていた。
体調が万全だった頃なら
絶対とらない行為である
サーチャーを消した
理由の一つとて彼女の
体調だからミスとまでは
言えない。
何より大きい要因は一度
最悪の展開になったかと
思った直後に聞きたい
情報全部聞けて安堵して
しまったことだ。
プレシアにとって管理局
以外が侵入してくると
最悪の展開になる理由は
待ち伏せして最下層の
部屋で戦えないから。
管理局以外なら正義に
馬鹿正直に拘る必要など
ないのだから時の庭園
丸ごとプレシアを潰しに
掛かるだろう。
特に街や地球ごと消され
掛けた現地住民達が
管理局側と手を組まずに
動いていれば尚のこと。
彼女にとっての最悪の
展開こそ玲が事件の
推理を組み立ててから
彼女達を直接見るまでは
プレシアを死亡させる
大前提で考え続けていた
対策だった。
玲は無辜の民に理不尽な
暴力を振るう輩は嫌いな
部類だが、それだけの
理由で死なせてやる等と
考えた訳ではない。
警察などの司法組織に
突き出すにも相手は法が
適用されない異世界人で
その異世界の司法組織は
無能な役立たずどころか
状況悪化させただけの
足手まとい。
無力なら無力なりに頭を
使い小細工などして
戦いに参加する方法は
あると玲は事件の最中で
関係者の皆に証明したが
管理局は無力どころか
完全な足手まといなので
司法組織に任せる手段は
あえなく潰えた。
事件首謀者が法を犯し
司法組織を欺き命懸けで
ある以上説得は無意味…
誰かが手を汚すやり方で
決着を着けるしかない。
玲がなのはとユーノを
遠ざけた理由とて当時の
二人が戦力外だという
理由も嘘ではないのだが
全てでもない。
殺傷設定の魔法を二人の
前で練習する訳には
いかなかったのだ。
殺傷設定の魔法は管理内
世界の法に反するので
管理局にバレたときの
罰則が怖いからではなく
あの二人が気づけば
『自分が代わりに彼女を
殺してくる』ぐらいの
こと言い出しかねない。
なのはは元々、誰かを
傷つけることは勿論だが
殺すことにも躊躇いも
迷いも罪悪感もなく玲に
心から惚れ込んでるから
心優しい想い人の手を
汚させたくない一心から
プレシアを殺そうと
しただろう。


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あきゅろす。
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