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リリカル無自覚
今後の方針
〜リリカル無自覚〜
〜第二十一話〜
月村邸の一室に
転移した玲は月村家の
四人に抱き着かれ
揉みくちゃにされた。
どうやら、全員我慢の
限界だったらしい。
本当は玲が戦闘を終え
帰って来た瞬間に全員
玄関まで飛び出して
駆け寄ろうとした。
その矢先にメールで
緊急作戦を伝えられて
演技し続けたのだ。
やせ我慢にも限度は
ある…当然の結果。
「本当に怪我ない?」
「大丈夫なの?」
「あまり無茶ばかり
しないで下さい」
「もっと自分を大事に
して下さい」
こんな状況でなのはが
ユーノを連れた状態で
転移して来た。
「連れてきたよって…
まあ、心配だったなら
無理もないよね」
「え?なのはも混ぜて
貰えばいいじゃない」
頬がヒクヒクしてる
なのはにユーノが
参加を促すと同時に
インターホンが鳴り
ノエルが応対する為に
玲の側を離れた。
「私が応対するので
一人分空きますよ…
どうぞ、なのは様」
「ありがとう!」
目に映らぬ速さで
駆け抜けたなのはが
玲に抱き着いた。
客が来たのに家人が
男と抱き合った状態は
マズイと思い残りの
三人も離れた。
なのはが勢い任せに
玲をソファーに
押し倒した瞬間に
客達が入室。
「なのは!無事か!」
「玲!怪我は!?」
両家の家族が入室した
瞬間にはなのはが玲を
押し倒した状態で
キスする寸前。
全員が沈黙した。
「こんの馬鹿息子!
これだけ心配掛けた
矢先に何やって…!」
玲の父親が激怒し拳を
振り上げたが月村家の
四人となのはから
制止させられた。
「は?つまり、貴女方
四人が心配のあまり
玲に抱き着いた場面を
ユーノ君を連れてくる
仕事終えたばかりの
なのはさんが見たので
我慢出来なくなった
なのはさんが玲を
押し倒してキスする
寸前だった!?」
状況説明されて怒るに
怒れなくなる玲の父。
『本当にスイマセン!
ウチのなのはがご迷惑
お掛けしまして!』
高町家全員が久馬家に
平謝りしていた。
「い、いえ、そもそも
ウチの玲が小学生にも
関わらず女を囲うのが
原因ですから…」
納得いかない…と玲は
思ったが言わない。
そもそも戦闘終えて
疲れてるにも関わらず
抱き着かれた挙句
揉みくちゃにされて
押し倒されキスされる
寸前までいったのは…
玲の意志ではなく
彼女達が勝手に行った
行為なのである。
玲が不機嫌になっても
無理は無い。
本題に全然入れずに
女性陣は暴走しまくり
親は一方的な誤解で
殴り掛かる寸前。
怒る理由には充分だが
平謝りしてくる
なのはを見てたら
怒るに怒れないのだ。
「では、家族間の話も
まとまった様なので
本題に…」
「貴女達も私と同じく
原因つくった側だから
偉そうにしてないで
謝ったらどうなの?」
忍がまとめようとした
矢先になのはの厳しい
突っ込みが入る。
『ゴメンナサイ』
「もう、いいから、
早く本題に…」
頭を下げる月村家の
四人に玲は話を促すも
更に脱線。
「待って、すずかなら
ともかく貴女達までが
抱き着く理由なんて
なかった筈だよね?
その理由って何?」
『そ、それは…』
声がハモり頬も揃って
赤らめる忍、ノエル、
ファリンを見た
なのはは頭を抱えた。
「いや、もういいよ…
分かっちゃったから
言わなくていい。
一体何人いるんだか…
すずか、お前は総数を
把握してるの?」
「質問内容は具体的に
言って欲しいな」
溜息混じりのなのはに
すずかは微笑を返す。
「アキラくんの愛人」
「現段階ではゼロ。
お姉ちゃん達だって
立場はなのはちゃんと
同じく愛人立候補した
女の一人ってだけ。
事件終わってから返事
貰えるってトコもね」
「愛人枠に立候補した
総数は…あ、やっぱり
聞かなくてもいいや。
聞かない方がいい気が
してきたし、本題から
ズレすぎだよね。
ゴメン、アキラくん。
私達が言い争いして
本題に入れなくて…
もう邪魔しないから
本題に入ろう」
女の争いをスルーし
本題に入る玲。
「資料を全員に配布し
読み終わってから話を
始めるって流れで
いいかな?」
「いいんじゃない?
一々面倒臭い説明する
手間も省けるから
私的にも助かるしね。
ほら、皆資料配るから
こっち来てー」
なのはが用意していた
資料を全員に配る。
一足先に転移した
なのはは月村家にある
コピー機を借りて
資料を用意してから
ユーノを連れてくる為
転移魔法でホテルまで
往復しておいたのだ…
玲の指示に従って。
資料の内容は
テスタロッサ一家の
事情が大半。
全員腰を据えてから
資料を読み始めるよう
玲が指示を出す…
全ては研究事故から
始まったのだ。
孤高の天才魔女であり
大魔導師でもあり
名高き研究者として
管理内世界に響き渡る
名を馳せたプレシア・
テスタロッサ。
膝まで流れるような
黒い長髪と紫の瞳が
特徴的な妙齢の美女。
彼女が誰も愛さない
孤高の天才魔女とまで
呼ばれる由縁は
身体に異常もないのに
娘を体外受精にて
代理出産させたから。
それには理由がある…
プレシアは幼い頃から
研究者としても
魔導師としても稀有な
才能を発揮していた。
彼女の周囲にいたのは
腹の中は嫉みや嫉妬で
いっぱいなのに
表面上だけ取り繕って
プレシアの才を利用し
私服を肥やそうと
目論む連中だけ。
友達はつくれずに
同年代は勿論のこと
年配の連中からすらも
嫉み嫉妬されて
煙たがられているか
私服を肥やすべく
利用しようと近づく
ゲスに群らがれるのが
彼女の日常だった。
しかし、プレシアは
研究と魔導に没頭して
孤独感を埋めた。
大人になっても
魔導と研究に没頭する
日々は続いた。
やがて、自分のコネで
手に入らない材料が
研究に必要となって
プレシアが困ったとき
後に彼女の夫となる
人物と出会った。
その男はプレシアの
由緒ある家柄と血統を
自らが政界に進出する
材料にしたかった。
プレシアは夫のコネを
手に入れたら今までは
入手が不可能だった
貴重な研究材料を
大量に入手して研究に
役立てられる。
お互い正直に目的を
話し納得して籍を入れ
世間体の為だけに
子供をつくった。
籍は入れていても
夫との間には愛など
欠片もなく、お互いに
ビジネスライクな
関係…身体も重ねず、
キスはおろか手すら
握らぬ歪な夫婦。
娘が生まれる前に夫は
事故で亡くなった。
しかし、プレシアは
生まれた娘には愛情を
注いだのだ。
それも当然である…
幼い娘には嫉妬心など
なく純粋に母を慕う
子供心があるだけ。
そういった純粋な心を
向けられることが
無かったプレシアには
娘の存在は癒しと
救いにもなった。
それまでプレシアには
魔導と研究が自分の
世界の中心だったが…
間もなくアリシアが
彼女にとっての世界の
中心となった。
しかし、彼女の至福の
時間は長く続かない。
彼女は勤め先の
会社から指示されて
次元航行エネルギー
駆動炉『ヒュウドラ』
を研究していた。
次元航行炉とは
主に次元航行艦等に
積載し運用される
莫大な魔力を内臓した
魔力炉である。
管理外世界の者にも
分かり易く敢えて
簡単に言ってしまえば
巨大魔力タンク。
その次元航行炉が
暴走事故を引き起こし
彼女は愛娘を失った。
娘の名はアリシア・
テスタロッサ。
フェイトと違うのは
年齢と髪型。
アリシアは長髪を
膝まで下ろした
金髪紅眼の六歳児。
娘を失ったプレシアの
心は狂ってしまう。
享年六歳という若さで
亡くなった娘を残酷な
運命から取り返そうと
プレシアは非合法も
危険も問わずあらゆる
手段を試し続けた。
しかし、どれもこれも
上手く行かなかった。
何より、プレシアは
危険な研究をした
代償として不治の病に
身体を蝕まれた。
彼女の手段の一つに
プロジェクトF.A.T.Eと
いう研究があった。
研究命題は使い魔とは
異なるコンセプトで
人工生命体を作る。
この研究を応用して
プレシアは娘を
復活させるべく動き…
ある意味では成功し、
ある意味で失敗した。
少なくともプレシアは
満足出来なかった。
記憶の転写一つすらも
上手く出来なかった
クローン人間を娘とは
認められなかった。
クローンの名は
フェイトと名付けた。
最初から彼女を
人間扱いする気が
なかったから計画名を
名前に使ったのだ。
フェイトには魔法の
勉強を強要し鞭を使い
虐待すらした。
娘ではないのだから
せめて、駒にはなれと
思ったからだ。
フェイトの魔法講師は
プレシアの使い魔たる
リニスが担当した。
リニスは山猫を
前身とする使い魔で
外見年齢はパッと見で
ニ十歳前後の美女。
肩までの灰色の髪に
特徴的な金の瞳。
白を基調とした
バリアジャケットを
着用していた。
リニスはプレシアと
違いフェイトに愛情を
注いで教育した。
彼女から魔法の勉強を
教わるフェイトが
途中で狼の使い魔を
持つことになった。
その使い魔こそが
アルフだった。
やはり、プレシアは
アルフにも愛情を
注ぎはせず駒にする為
リニスに魔法を
教えるように命じた。
アルフにもリニスが
愛情を持って接し
魔法を教えた。
リニスは自らの死期を
悟りバルディッシュを
製作しフェイトに
渡したのだ。
彼女達が幸せを掴める
手助けになる様に
自らが掴んだ真実を
極秘プログラムとして
バルディッシュの中に
潜ませて渡した。
真実だけではなく
時の庭園の見取り図も
入れておいた。
フェイトやアルフも
時の庭園内に知らない
場所が数多くあるので
誰かがプレシアを
止める場合、彼女達の
情報だけを頼りに
止めるのは不可能に
近いからだ。
このままでは一家全員
不幸になるだけだ…
誰かプレシアを
止めて下さいとの
願いを込めて仕込んだ
リニスの遺産である
プログラムだった。
そして、リニスの
予想通り彼女は死に
ストッパー役が消えた
テスタロッサ一家の
悲劇の運命が加速して
止められなくなった。
やがてプレシアの目は
ジュエルシードに
向けられたのだ。
願いを叶える宝石
ジュエルシードとは
内包する魔力を術師が
使うことにより更に
魔力が大きくなる。
プレシアが意図的に
使えばアルハザードへ
向かうのは決して
不可能ではない筈だ。
アルハザードとは
不老不死の魔法等の
優れすぎた魔法を
持っていたからこそ
滅びたと謳われている
管理内世界のお伽噺に
限りなく近い存在。
次元空間や虚数空間の
狭間にあると言われる
その場所へ行く為に
ジュエルシードを
意図的に暴走させ
次元震を引き起こし
アルハザードに向かい
アリシアとの時間を
取り戻すのが目的。
次元跳躍魔法を使い
輸送船を死人を出さぬ
威力で事故に見せ掛け
撃墜し管理局の到着を
遅らせるだけでなく
封印も外れ掛かる
威力で撃ったからには
見つけ易い筈だ。
管理外世界での
ジュエルシード回収を
フェイトに命じた。
勿論、その世界こそが
ここ地球であった。
しかし、フェイトと
アルフの懸命の捜索も
虚しく空振り続き。
報告期限が迫る中で
何とか成果を挙げる為
フェイトは街中で
結界すら張らないまま
天候操作型儀式魔法を
発動させてしまう。
玲となのはが魔法の
気配を感じとり戦闘と
なった一幕はこれ。
細工を色々施してから
事情聴取を終えた
二人を帰して現在に
至っている。
「随分と重い話よね…
でも、アキラくんには
想定の範囲内みたいで
安心したわ」
忍の言葉に大半の者は
度肝を抜かれた。
「待て、忍、何で彼の
予想の範囲内だなんて
思ったんだ?」
「アキラくんはボスを
いかにも悪人だという
ニュアンスで話した。
でも、敵の部下までは
悪人ってニュアンスで
話さなかったわよ?」
恭也の問いに答えた
忍の言葉に殆どの者が
気づいてしまった。
「やっぱり、忍さんは
気づいてましたか…
はい、想定の範囲内に
入れてましたよ。
部下の対応が遅いのは
ボスとの情報共有が
出来ていないか騙され
利用されてるかもって
考えもありましてね」
「で、どうするの?」
「どうとは?」
「こういったケースを
君が想定してたのなら
作戦考えてたわね…」
「無策で皆さん一緒に
考えて下さいって僕が
言う可能性最初から
除外してますね…」
苦笑する玲を忍は鼻で
笑い飛ばした。
「笑わせないで。
他の誰かならともかく
君は想定してる状況に
無策で飛び込む程
無鉄砲ではないわよ」
「ま、誉め言葉として
受け取っておきます。
確かに、こういった
ケースでの作戦自体も
考えてましたよ。
でも、出来ることなら
なって欲しくなかった
展開でしたね…」
「え、どうしてさ?
悪人じゃない人達が
敵側にもいるんだって
分かったら善人の君は
喜ぶと思ったけど?」
ユーノの質問には
なのはが答えた。
「倒すより助ける方が
難しいに決まってる。
作戦の難易度は勿論
危険度だって爆発的に
跳ね上がるんだ。
手放しで喜べる程に
アキラくんは馬鹿には
なりきれないんだよ」
「馬鹿で悪かったね」
不貞腐れるユーノ。
「でもね、どうやって
助けるつもりなの?」
「強制改心の魔法を
プレシアに叩き込んで
勝てば助けられます」
「そんなに都合のいい
魔法があるの?」
これには流石に忍も
驚きを隠せない。
「確かにありますけど
厳しすぎる前提条件を
満たせる魔導師なんか
滅多にいませんよ」
答えたのはなのはだ。
「条件って何なの?」
「一つ目は魔力量。
人間の魔力量だと絶対
足りないんだよ…
必要とされる魔力量は
桁や格どころか
文字通り次元が違う。
二つ目は精神力。
穏やかな心の持ち主が
憎しみを飼い慣らせる
強く気高い精神力を
手に入れていることが
必要条件になる」
「そんな条件満たせる
誰かがいるの?」
溜息混じりのすずかの
質問に答えるなのは。
「私は精神面の条件で
即アウトだね。
魔力量での不足分こそ
ないけどアノ魔法は
私みたいな薄汚い暴力
大好きな性格してたら
即刻喰われてしまう」
ここまでがなのはの
理由である。
「ユーノは両方の
理由から除外される…
ただ、穏やかな心を
持ってるだけでは何の
意味もない。
毒にも薬にもならない
奴には何も出来ない。
最後に残った一人が…
アキラくん」
なのはは更に続ける。
「アキラくんも私も
超一流の魔導師にまで
成長してるから魔法を
ぶつけ合えば魔法が
語ってくれる。
だから、交戦と同時に
悪人じゃないと気づき
彼女達を助けるべく
戦いに勝った後で私に
最短期間で爆発的に
魔力量を増やす方法を
教えてと頼みに来た」
「どんな方法を教えて
貰ったの?」
目を輝かせたすずかが
玲に尋ねるが目を
逸らされてしまった。
怪訝に思ったすずかは
なのはに目を向ける。
「魔力量を最短期間で
爆発的に増やす方法は
人間を辞めて人外の
化物になることだけ…
遠からずアキラくんの
肉体は吸血鬼の真祖と
化して爆発的に魔力を
増大させるだろうね」
すずかは素早く玲の
胸ぐらを掴む。
「……嘘だよね」
「本当だよ、翌朝には
僕の肉体は吸血鬼の
真祖と化し不老不死に
なってるだろうね」
「何でそんな方法を
選んだの!?」
「助けたいと思ったら
他に理由はいらない。
助ける為に必要なこと
自分でやっただけ…
当たり前のことだよ」
すずかは玲の胸に
すがりつき泣き出す。
「馬鹿っ!お人好し!
感謝なんかされないの
分かっているのに何で
そこまでしたのっ!」
「理由なら、さっき
言ったじゃない」
玲はすずかを優しく
抱き締めた。
「うるさいっ!黙って
抱き締めてなよっ!
うっ!ひっく…!」
「ゴメンね」
「あやま、ら…ない…
で…よ!バカーッ!」
「ちなみにこの魔法は
他にも問題がって既に
聞いてないね…」
二人のやりとりの横で
なのはが一瞬説明を
続けようとしたが
流石に空気を読み
途中で自重した。
「あっちの愚妹には
後で私が説明するから
続けて」
「愚妹ですか…私は
惚れた男の為に
泣ける女を愚かとは
思えませんけど」
「泣いてアキラくんの
状態がどうにかなると
言うなら私だって
大泣きしてあげるわ。
でも、泣いたところで
どうにもならないって
分かるから泣かないで
情報を集めたいの」
「…他の問題の部分は
魔法としての威力が
高すぎるんです。
お優しいアキラくんは
通常空間では、とても
使えないでしょうね」
この言葉に玲以外の
全員が疑問を覚えた。
「いや、威力って何?
催眠系統の魔法には
威力とか表現しないで
効力って表現しよう」
ユーノがたしなめる。
他の皆も同意見。
「違う、分類としては
攻撃魔法になるんだ」
「それでどうやったら
強制改心なんて真似
出来るんだよ!?」
ユーノが絶叫するのも
無理はなかった。
魔法理論的に不可能な
理論の筈である。
「悪い心を喰らえる
攻撃魔法なんだよ。
勿論攻撃魔法としても
同時に恐ろしいまでの
威力を発揮するけど」
「どのくらいの?」
「アキラくんが込める
魔力にもよるけれど…
そうだね、最低限でも
銀河の一つや二つは
容易く喰らいつくせる
程度の威力が出る」
なのはが答えると
部屋から音が消えた。
「……お、オートで
その威力が勝手に?」
「ええ、非殺傷設定で
魔法を成立させられる
必要最低限の魔力だけ
込めての威力がです」
「も、もしもだけど、
その魔法を使える様に
なったアキラくんが
殺傷設定で魔力を強く
込めた威力は?」
「私にも予測出来ない
レベルになってるかと
思いますが?」
震える声で質問を
続ける忍になのはが
答えていくと全員顔が
青くなった。
いつの間にかすずかも
玲の胸から離れて話を
聞いていた。
なのはは心中で
それでも、力だけなら
完全に私が上だけど…
と続けた。
言葉に出してたら
ビビらせちゃうからと
自重したのだ。
「それらは使える様に
なった後の話だけど…
父さんと母さんに
今選んで欲しいことが
あるんだよね」
玲の声が響いた。
「なんだ?」
「なによ?」
「吸血鬼の真祖に
なった僕とも一緒に
暮らせるか?だよ」
『家族だから一緒に
暮らすに決まってる』
即答だった。
微塵も迷いが無い。
「いや、まあ、お前が
凄く大人びてるのも
強いのも分かるんだが
小学生じゃないか。
追い出された後なんて
行く宛は…こんの天然
女タラシがぁ!」
「うわぁ!途中まで
いい話だったのに何で
キレるのさ!?」
父の話に感動しただけ
ショックも大きい。
「いや、女のところに
転がり込む気かと」
「しないから、息子を
何だと思ってるの?」
「女の敵」
「非道い誤解だ…」
項垂れる玲に追討ち。
「これだけ女囲って
誤解と言う気か?」
「僕がいつ、どこの誰
囲ったと言うの?」
「周りを見て言えよ」
「事件解決するまでは
返事保留してるだけ」
「それ充分囲ってると
表現されるわよ」
母まで父の援護射撃。
「しかも、その全員が
美女か美少女って
あんたって奴は…!
吸血鬼の真祖とかより
小学生で女遊びを
覚えてる方が心配よ」
「激しく間違ってる」
「あんた、美的センス
狂いすぎよ…。
こんな美女、美少女達
可愛いくないとまで
言うだなんて視力でも
悪くなった?」
「いや、間違ってるは
そこに掛けてないよ!
誤訳しないで!」
女性陣の顔が曇り
慌てて誤解を解く玲。
久馬家は家族の一員が
吸血鬼の真祖と
化そうが、相変わらず
家庭円満だった。

〜作者後書き〜
原作でプレシアさんが
狂った理由オリジナル
解釈です。
止めてくれる誰かが
いたら、あそこまでは
狂わねぇだろと。
いきなり一般人が
殺し合いの場である
戦場に飛び込めば
当然家族は心配するも
玲もなのはも普段と
様子変わりませんので
一安心です。



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