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ざれごと

きみのアカイ目(零僕)





何故零崎はあんな優しそうな、京都を震撼させた殺人鬼がしているとは思えない目でぼくを見るのだろう。彼のどろりとした、まるで血液をそのまま固めたかのような瞳にその表情はあまりにも不釣り合いで、今ぼくの目の前にいるのは零崎ではなく、全く別の人間なのではないかと錯覚しそうになる。いや、ぼくはそう錯覚したいのかもしれない。



「欠陥?」

ふわり。
零崎の見た目よりも大きい手がぼくの頬に触れた。
ぼくは壁を背に体育座りをしていたので、膝立ちしている零崎に見下ろされる形になる。自分より背が低い零崎に見下ろされると思うと何だか癪に障った。


「何?」
「何考えてんだよ?」
「別に、何も。あぁ、別にきみの背の低さについてなんてこれっぽっちも考えてないから安心していいよ」「お前なぁ…」


触れられた左頬が、熱い。その熱は左頬からじわじわとぼくを蝕んでいって、ぼくが得意とする筈の戯言が上手く考えられなかった。
「……」
「……」


しばらく軽い沈黙が流れる。


あぁ、またその目だ。

零崎の目はいつものように深い所を見ているのではなく、ぼくを映していた。その目がまるで愛しいものを見るように細まる。

やめてくれ、その目は苦手なんだ。まるで自分が愛されているんだと、愛される事を許されている存在なのだと思い込みそうになる。
ぼくはまだ気付きたくない。そう思い込みたいと想っている自分がいる事も、この熱を愛しいと、離れ難いと想っている自分がいる事も。






―でも、
今素直になったら彼はどんな表情をするのだろうか。

きみのアカイ目



「なぁ、人間失格」
「何だよ、欠陥製品」
「大っ嫌いだ」
「そうかよ、俺は愛してるぜ?」
「そう、じゃあぼくもきみを愛してるかもしれないね」
「かははっ!傑作だな」


「―いや、戯言だろ?」









未だに自分が何を書きたかったのか解りません…

どうしたら小説って上手くまとめられるんでしょう…

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