もぐ、もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ
頬いっぱいにパンを詰め込み食べる姿はどこかハムスターを彷彿とさせる。
可愛い、と骸は思った。
4時起きの疲れも吹っ飛ぶというものである。
歳が離れている所為か骸は綱吉を昔から溺愛していた。
そうなると彼女より弟!なわけで、未だに彼女は疎か友達でさえも近所に住む白蘭しかいないという状況にある。
そろそろ弟離れしなよー、などとその唯一の友達によく言われるのだが、そいつはどうも綱吉を狙っているらしく隙さえあれば部屋に連れ込もうとするのでやはり骸は綱吉から目を離せないのである。(綱吉には何度言ってもびゃっくんはいいひとだよ、と言って聞かないので常に白蘭とは行動を共にして見張っている。)
ふと時計に目をやると、もう8時10分。
綱吉を送り出さなくては、と思うのだがまだ彼は朝食を食べていた。
「綱吉くん!時間ですよ!急いでください。遅刻してしまいます!!」
「急いでるよ。骸兄さんには速すぎて見えないかもしれないけどこの手は高速で玉子を口に運んでいるんだよ。」
はて、と考え込む骸。
もしかしたら本当はそうなのかもしれない。
綱吉に僕は勝手にゆっくりさんだというレッテルを貼っていたのかもしれない。
そんな骸の肩を叩いたのは二階から降りてきた恭弥であった。
「ばっかじゃない?(笑)」
気がつくと綱吉はもう玄関で。
「いってきます!」
「え、ええ。いってらっしゃい。」
彼が家を出て数分、ダイニングテーブルに残されたお弁当に骸が気づくことはなかった。
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