口づけからロマンス …今日も居る。 校門の陰からのぞく怪しげな髪型(フルーティーカットとでも名付けようか。)は綱吉のいる校舎3階の窓からも識別できた。 見間違いであって欲しいがあんな髪型の人物は生まれてこのかた2人しか(1人は女の子だった。今見えるのはどう見ても体格的に男だ)見たことがないので間違えようがない。 …六道骸である。 ここ最近毎日のように現れてはなんだかんだと文句を並びたてて帰って行く。 特に何をされると言うわけでもないのだが自分に関係のないことでぐだぐだと愚痴られるのはあまりいい気はしない。 よって会わないように避けているつもりなのだがフルーティーが受信しているであろう電波の所為か何故か見つかってしまい愚痴を聞くはめになるのだ。 更に運の悪いことに今日は山本は部活の試合、獄寺はダイナマイトの買い付け、と何時も奴を追い払ってくれる人がいない。 したがって今日は1人で惨劇を回避しなくてはいけない、というわけだ。(それは雛見沢の惨劇回避より難しいであろう。なんせ相手はフルーティーだ。) いやだなあ、とだらだら校内で過ごしていたのだがもうじき完全下校時間になる。 フルーティーは嫌だが風紀委員長はもっと怖い。 綱吉は漸く重い腰をあげ、生徒昇降口へと向かった。 「こんにちは、沢田綱吉。」 やはり見つかった。 折角人一倍鈍い運動神経を駆使して正門と裏門の間の塀を乗り越えたと言うのに、其処には両手を開いて構えている奴がいた。 「…何で居るんだよ。」 「なんとなく、その辺を通りかかったから、ですかね。」 「だいぶ待ってた癖に。」 「気付いていたなら早く降りてきてくださればよかったのに。これだからマフィアは。」 ズキ… ああ、まただ。 だからこいつには会いたく無かったのだ。 何故胸の奥が痛くなるのか、わからないから。 「そんなに嫌いなら来なければいいのに。」 「マフィアは嫌いです。でも、」 あれ?と思ったときには口と口が触れていた。 「君のことは好きなようです。」 「実は今日は僕の誕生日なんですよ。また明日も来ますね。」 きっと今の自分の顔は真っ赤であろう。 きっと俺もあいつがすきなんだろうなあ、明日獄寺くんと山本が見たらどう思うかなあ、と綱吉は思った。 骸はぴば! 6/9 |