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かみさまかくし *?



白つなでうたぱろ



山の向こうの小さな森に寂しい神様が住んでいました。白い髪に紫のお目々の寂しい寂しい神様でした。

とても綺麗な神様だけど彼とは話してはいけない、と村では言われていました。寂しく綺麗な神様は子供を山の奥底に隠してしまうから。深く深く深く。「寂しい寂しい」と泣くけれど、話しかけてはいけないのです。話しかけたら隠されてしまうから。

それは『かみさまかくし』と呼ばれ、恐れられていました。


その村にはとても優しい少年が住んでいました。彼はみんなから愛されていました。村人たちはそれはそれは狂おしいほどに彼を溺愛しました。でも優しい彼は自身に絡みつく腕を振りほどくことはできないのでした。

ある日彼は村人たちの目を盗んで村の外に出ました。村には咲いていない花、生えていない木、見たことのないものがたくさんありました。その中には白い髪の神様も含まれていました。

この時はすぐに連れ戻されてしまいました。村人たちはあの神様には話しかけてはいけない、と言いました。かみさまかくしにあってしまう、と。

彼は限界でした。毎日毎日愛され、外に出ることでさえままならない生活。それはとても辛いものでありました。再び外に出られたのなら、できたのなら、あの白いひとに話しかけよう、と決意したのでした。

そして好機は突然やってきました。村で火事がおこったのです。彼は走りました。はやく、はやく、あのひとのところへ。

神様は今日も「寂しい寂しい」と泣いていました。

白い髪に紫のお目々。うわさといっしょでした。


「ねえ、泣かないで。」

優しい彼は話しかけます。
自分の為に話しかけます。

「寂しいんだ。誰も僕と話してくれないし誰も僕に近寄ってはくれない。」
「おれが、俺がいっしょに居てあげる。だから泣かないで。」
なぜか少年も泣いていました。
「ほんとう?」
「うん。ずっといっしょに居てあげる。」

少年は寂しい神様の手をとりました。これでもう寂しくないね、と神様は笑いました。無邪気に無邪気に笑いました。

嗚呼、少年は考えが甘かったのです。檻を出てもそこはまた檻だった。毎日毎日神様に愛され、お社から出ることは許されませんでした。それでも少年はつないだ手を離せないのでした。ひとりは辛いのです。

村にいたときと神様といるときと、どちらが幸せなのかなんて今となってはどうでもいいことなのです。







神様隠しぱろです。うたぱろ強化そのいち!
なんかもっと悲しげで綺麗な曲なのに変になってしまった…

精進します。←毎回こんなこと言ってますね。



5/8


あきゅろす。
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