ラーメンに癒されたい 日常と変化B その夜、おかんは野菜の具沢山のスープやチキンステーキ、温野菜のサラダを作ってくれた。大島さんには、酒の肴は、カレイの素揚げと菜の花のおひたしを用意していた。 淳也は、好物ばかりで大喜び。会話も弾み、楽しい夕食だった。 食事の後、淳也と2人で風呂を借りた。大島家の浴室は、さすが建築会社社長の家だけあって、せまい我が家の2倍はあった。 淳也がはしゃいで湯船で遊ぶので、俺までのぼせそうだった。疲れた俺達は、2階の客間に布団を借りて、いつもより早く寝ることにした。 俺達が、「おやすみなさい」と挨拶すると、おかんと大島さんは2人で、酒を呑みながら世間話をしているところだった。 大島さんは、「明日は何もないから昼まで寝ててかまわんぞ」と手を振ってくれた。 その晩、俺はふとトイレに行きたくなり、目を覚ました。トイレは2階にもあるのだが、喉も渇き、水を飲もうと下のリビングに降りた。すると、リビングの隣の部屋から、なにやらぼそぼそと声が聞こえてきた。その部屋は大島さんの寝室である。 扉の隙間に近づくと、ベットの上にパジャマ姿の大島さんとおかんが2人並んで座っているのが見える。 大島さんは、普段のにこやかな顔ではなく、何か切羽つまった様子に見えた。 向かい合って座ったおかんの顔を両手でなぞりながら、つぶやくように言った。 「紗江子。俺は、今のままじゃもう無理なんや。お前が、助けてくれへんか」 大島さんは、かすれた声でつぶやくとおかんを抱きしめた。おかんも、彼を抱きしめ返しながら、答えた。 「私で、力になれるんやったら、そばにいてあげる」 その答えを聞くと、大島さんは、おかんにキスをしながらベットに押し倒した。2人は、互いの服を脱がせながら、何度もキスを繰り返す。 しばらくすると、おかんのすすり泣くような声が聞こえてきた。 俺は、友達でチームのピッチャーの福井から、グラビア写真集を見せられただけで赤面したことがある。それくらい、性的なことに疎かった。 しかし、いくらなんでもこの状況がセックスだということくらいは、理解できた。気が付くと、2人とも何も身につけていなくて、彼はおかんの胸を揉みながら、名前を呼び続けていた。 俺は、見てはいけないものを見た気がして、冷蔵庫をそっと開けるペットボトルを取ると、足音に注意して2階に上がった。布団に入って、目を瞑ったもののさっき見てしまった光景が頭から離れず、眠れそうにない。 それどころか、身体が熱くなってきたが、それを冷ます術を俺は知らない。 どうしようか悩んでいるうちに、気が付けば、朝日が昇っていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |