その永遠に涙した
12
「……ソレ、どしたの。」
心無しか空気が冷たいですぜ、たいちょー
隊長って誰だよ、とかいうツッコミは置いといて
ソレ、とあきが指差した先にあったのは、紛れも無く俺の首筋に貼られた絆創膏
気付かれた
いや、気付くとは思ってたけどさ
説明面倒だなぁ、とか思いつつも、目の前のあきの顔がどんどん歪んでいくので話さずにはいられなかった
「ちょっとむs―「虫とかいう嘘は無し。」―……。」
俺は誤魔化そうと在り来たりな言い訳を言ってみるが、案の定あきには通じなかった
それどころかさっきよりオーラがどす黒いですぜ、たいちょー
だから隊長っ(以外略
「それ……紫藤?」
「ん?ん……んー、まぁ、な。」
あきが魁を呼んでる名字でも、やっぱり同じだからかなんだか違和感を感じた
俺はあきの態度に隠すのは後が恐いな、と察して歯切れ悪くも肯定の返事をした
「ふーん。」
ささささっきから何怒ってんだよ、あきの奴!
べべべ別にここ恐くなんかっ、ねぇからな!
すると突然、目の前のゆきがガタッと立ち上がり俺の後ろに来ると、後ろから俺を抱き締めた
「あき……?あーきー。」
THE☆無反応
いやいやいや!
逆に恐いから!無反応恐いから!
後ろ越しに俺の肩口に頭を埋めるあき
なんだか可愛いくなってきた
俺は前に回されたあきの手をぎゅうっと握った
それと同時に、あきの身体はビクッと跳ねた
そして更に俺を抱き締める腕に力が入る
「どした?あき。」
普段はこんな甘えない……というか想像も出来ないあきが甘えている
俺は嬉しい半面、あきが何か悩みでもあるのか、俺では相談役として役不足なのかと悲しくなった
「ひな……。」
ボソッと紡ぎ出される言葉
なんだかその声は、物凄く温かい声でもあり、切ない声でもあった
「ん?」
「……何でもない。」
「そっか。」
会話が終わると、パッとあきは手を離し、『便所』といって教室を出て行ってしまった
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