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その永遠に涙した
11

屋上を猛ダッシュで出てきた俺は、この赤い印を隠す為に保健室に行った


――コンコン


「失礼しまーす。」


恐る恐るといった様子で扉を開け中に入る陽咲


保健室の中は、誰も居ないのか特有の消毒液の匂いと静寂に包まれていた


誰もいなくて良かったぁ

えっと、絆創膏はーっと


「あったあった。」


きちんと整理された棚に並ぶ絆創膏の箱


俺は棚を開け、その箱を取り出す


「こんなもん、かな。」


本当は首筋に絆創膏なんてあからさま過ぎて嫌だけど、仕方無ぇもんな


俺は鏡を見てよしっ、と呟き、箱を元に戻して保健室を後にした






今は多分昼休みだろう

屋上でチャイムが聞こえない事は無いからな


陽咲はそう思って友人の待つ教室へ真直ぐに向かった



やはり昼休みな為に、廊下や教室では笑い声や話し声が絶えなかった


「あ、おっかえりー。」


優雅に1人でご飯を食べている俺の友人

俺に気付き、箸を持っていない方の手をひらひらと動かした


「あき!先食べんなよ!」


俺はあからさまに怒った、というブスッとした表情であきに言った


「だっていつ帰ってくるか分かんねーし。腹減ったから。」

「そーだけどさぁ。」


ちえっ
あきなら待っててくれると思ったのにさー

俺は自分の鞄から弁当を取り出し、机の上に広げた


弁当はいつも皐月兄が作ってくれる

俺は購買の弁当でいいって言ってるのに皐月兄は


『ひなにそんな物毎日食べさせられないよ。栄養バランスはバッチリだから大丈夫。』


ってにこやかに言ってくる


なんか俺の母親みたいだよな
ってまぁ、実際皐月兄はそんな気持ちなんだろうけど


「拗ねんな拗ねんな。」

「拗ねてねーよっ。」


目の前に居るあきは箸を置き、俺の頭をポンポンと叩いた


別に、拗ねてなんか……拗ねて、なんか
拗ねて……悪いか!


俺は頭の中で逆ギレするものの、またあきにからかわれるのはごめんだと思い胸の中にしまっておいた


すると、あきが突然俺の頭を叩いていた手をピタッと止めた

ん?なんだ?

俺は訳が分らず頭に?を浮かべている


対してあきは、ある一点を食い入るように見つめていた










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