[携帯モード] [URL送信]

Second Love
06

「驚いた?なな。……でもね、なながイケないんだよ?」


背中に悪寒が走る

部屋の中は暖房がかかっているにも関わらず、ガタガタと震え出す身体


あぁ、この支配する声が

また、俺を墜とすんだ

――闇へと


千颯は気味の悪い程の妖艶な笑みでこう言った


「あんな下衆野郎と付き合い始めるから。あんな……浮気男、ななには似合わないよ?ね?」


クスクス、と最後は笑いながら


その笑みは、俺が今まで見た中で何よりも悍ましい笑みだった


なんでだろう
人間て不思議なもので
一度裏切られただけじゃこりないんだ
好きな、愛すべき人なら尚更で
何処かで、信じたいと思っているんだ


だからか、俺は考えもしない言葉がとっさに出たんだ


……いや、出てしまったんだ


「っ千颯!」

「……何?」

「俺、何でもするから!お願いだから斉にだけは手を出さないで!お願いだから……っ!」


涙で一杯の瞳は、ぼやけた世界しか映さない

気付いて無かっただけで、きっと……千颯は冷ややかな目で俺を見ていただろう


それでも、そこまで頭が回らなくて
今は斉を助けたい、という気持ちで一杯で


千颯は口を開かない


部屋には

時計のカチカチという音と

俺の嗚咽がただただ響いた



「……いいよ。」


千颯のその一言に、俺はバッと涙に濡れた顔をあげた

そして、それと同時に理解した

千颯が何を考えているのか


あの笑みは前にもあった

そう、あの時の笑みだ


消し去りたい過去

出来るならば、記憶に蓋をしたかった


俺の、忘れたい過去











 

[*prev]

6/6ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!