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私立輝月学園
2
「珍しいな、お前からなんて。」

「うっさい。」

「はいはい。で、何かあったんだろ?言ってみ?」

千里の手…あったかい
頭撫でられるの…気持ちいい

「よく…分らないんだ。どうして…あんな反応するのか…こんな…気持ちになるのか…。」
「ふぅん。で?」

「今日…奏葵に愛想無くあたったんだ。…離れる為に。なのに、全然俺を嫌いにならないで…むしろ心配してきた。」

分らない
今までとは違う反応

どう対処したらいい?

「いい友達もったじゃねーか。だいたいなんで離れようなんて思ったんだ?」

それは…

「俺が…化け物だから。俺は…いつか皆を傷付ける。友達なんてもっちゃいけなかったんだ…。母さんだって…俺が…。」

ダァァンッ

びっくりして千里の方を向くと、机を叩いていた

「馬鹿言ってんじゃねぇぞ。そんなの只の甘えだろーが!自分が傷付きたくないから相手を離すだけだろ!?それに、雪華はそんな事思っちゃいない!!絶対にだ!!」

「千……里。」

甘…え?

傷付きたくない
どこかでそう思っていた?

でも…母さんは…俺のせいで…

「雪華はお前が生まれた時、本当に嬉しそうだった。自分の夢捨ててまで育てようとしてた。それ程お前を…雪を、愛していた。」

母さん…が?
俺を…?

「でも…俺のせいで…。」

ふわっ

いきなり千里が抱き付いてきた

「雪のせいじゃない。誰も…雪を責めたりしない。雪華は最後まで…雪の事、愛していたよ。…自分の身投げ出してまで、雪の事守るくらいな。」

…そうだ
母さんはあの時、俺を庇って…



『まま?』

『雪…っ。』

『泣いてるの?まま?なぁに?これ。あかーい!』

『雪…生まれてきてくれて…ありがとうね。私の子…として。雪…大好きよ。それだけ…忘れないで…。』

『僕もっ!まま大好き!』

『綺麗な髪と瞳…大切にしてね…?まま、雪の髪と瞳…大好きだから…。』

『うん?僕の髪と目…綺麗なの?』
『ええ…とてもよ。雪…もう行かなくちゃ…。ごめんね…一緒にいてあげられなくて。ごめんね。』

『どこか行くの?でもまま、横になってるよ?』

『雪……』


"愛してる"




「雪…お前は雪華の分まで沢山生きて、沢山幸せになれ。雪華も…きっとそれを望んでる。」

「でも…俺は…。」

「雪、お前は幸せになっていいんだ。ちゃんと幸せを掴むんだ。な…?雪、いいんだよ…もう。」

化け物…だけど
皆からいらないって言われるけど…
幸せになっていいのかな…?

俺でも…人並みの幸せを掴んでもいいのかな…?

「せ…んり…。」

「泣け、雪。俺は見て無いから。今まで我慢してきた分、全部出せよ。」

そう言って千里は俺の後頭部に手をそえ、自分の肩に俺の顔を埋めるようにして抱いた


これは千里の優しさ
人前では泣けない俺だから


「ふっ…ヒック…ヒッ…ク……ヒック…グスッ…。」


何年分もの涙


沢山我慢してきた分俺は



沢山沢山涙を流した




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