私立輝月学園
8
>―ガチャッ
俺は先輩の制止の言葉を無視して、ノックもせずに理事長室に入った。
「誰だ?」
っ!!やっぱノック無しで入ったの不味かったよな…(当たり前です by管理人)。
声は少し遠くから聞こえた。
相手もこっちが見えないみたいで、どうやら死角になってるみたいだ。
「勝手に入ってすみません。転入生の月城雪です。あの…理事長ですよね?」
こっちからも見えなくて、誰が居るのか分らなかった。
多分理事長だろうけど。一応…ね。
「雪っ!?」
死角になっていた所から、書類(多分)を手に抱えた1人の長身の男が出て来て、俺の名を呼んだ。
っ!!!!
「千里っ!!!」
目の前には見慣れた男。
俺は、その男の名を呼び抱き付いた。
「雪っ、約束の時間過ぎても来ないから心配してたんだぞ。校内放送かけるとこだった…。」「ごめん。迷っちゃってさ…。ていうか!なんで千里がここに居るんだよ?」
「お前…あの方から何も聞いてないのか?俺はここ、輝月学園の理事長だぞ?」
「聞いてねぇっ!!あんのジジィ!つーか、どっちにしろここ来れなかっただろうが!なんでロック付きのエレベーターなんだよ!!」
「悪ぃ…カード渡すの忘れてたυあれは、生徒が生徒会室とか理事長室てかに詰め寄らないための予防線。」
「なるほど……っては?なんで生徒がここに近付くんだよ?意味わかんねぇ。」
「まぁイロイロとな…。それより雪!誰にここまで案内してもらったんだ?ニコッ」
ははっ…体の後ろから黒いオーラがだだ漏れだよ…千里くん。
こんな時は正直に言った方がいい。俺は何回も経験してきたっ!!
なぜかいつも俺絡みだったが…
「琥柳先輩だよ。迷ってたところ助けて貰ったんだ。」
「琥柳…か。で、何もされなかったか?」
NOと言いたい。男にキス(しかも深いの)されました、なんて言ったら絶対千里はひくっ…。
でも…この顔の千里を目の前に、俺の選択肢はYESしかないのだ。
「……ひくなよっ。アレは一瞬驚いて隙作っちまっただけだからなっ!!」
「………で?ニコッ」
顔は笑ってる…。でも…
声は笑ってねぇっ!!!
「キス……された………。」
「!」
その時、さっきまではなんとか顔は笑顔だったものの、この言葉を口にした後、顔さえ笑わなくなった。
「他は?何もされてねぇーよな?」
「まぁ。」
千里がまぢギレしてる。
久々に見るとめちゃくちゃ恐えぇぇぇ。
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