私立輝月学園
3
side;慎
はぁ……。
あいつにも呆れるよ。
また仕事ほったらかしてセフレなんかと。
仕事してるこっちの身にもなれって感じだよ、全く。
「気晴しにでも、あそこ行こうかな……。」
…*…*…*…*…
「うわっ、すごい。」
人!?
ここは生徒会以外立ち入り禁止の暗黙の了解があるはず……。
というより、気配無かったぞ。
「誰だ……こんなところに。」
目に映ったのは、身長低めの黒髪野郎。
なんかずっと動かず建物見てるよ。
ちょっと、声かけてみるか。
「ここに何か用?」
「!?」
いつものようにニコニコして聞いてみる。
その子は、すごく驚いた顔でこっちを振り返った。
ま、こっちまで気配消してたからいきなり声かけられて驚くのは無理もないか。
にしても、ダッサイ格好。
ボサボサの黒髪に縁無し眼鏡。
インテリ系にも見えるけど、印象としては暗いオタクくんって感じかな。
「何か用?見ない顔だけど。」
「あ、えっと迷っちゃって……。すみません、勝手に入って。」
へぇ。
俺見て媚びうってこない奴なんて久々だな。
面白い。
「ううん、全然いいよ。普段は人が来ないから驚いただけ。それより、迷ったって……もしかして噂の転入生?」
見ない顔だし、たしか理事長が転入生が来るって言ってたような……。
「はい、まぁそうですけど……。」
「そっか、だからここにも居たんだね。」
意味ありげに言ってみたら予想通り、どういう事だって顔してる。
クスクス。
なんか、見た目あれだけど可愛いかも……なんて思ったり。
案内してあげてもいいかっ。
説明もしてあげなきゃだし。
これからのためにも……ね。
「フフッ。まぁ話ながら行こうよ。」
「行くってどこにですか?」
「理事長室。迷子なんでしょ?案内するよ?」
「あ、ありがとうございます。」
クスクス、腑に落ちないって顔してるー。
そんな事を思い、少し笑みを零しながら俺は歩き出した。
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